神経質な彼とマイペースな彼女……価値観がまったく合わない2人の日常を描く『ダーリンは無職、でも猫が好き』

マンガ

公開日:2017/8/11

『ダーリンは無職、でも猫が好き』(ナギサノコニー/小学館クリエイティブ)

 長らく他人だった2人が、人生をともに歩む決心をする“結婚”。それでも、別の環境で育ってきた2人が一緒になるということは、価値観が違ったり、食の好みが違ったりするのは当たり前ですよね。たしか、あの山崎まさよしさんも名曲「セロリ」で、そんなことを歌っていたような気がします。

 別の人間なのだから不一致があってもおかしくありませんが、先日発売された『ダーリンは無職、でも猫が好き』(ナギサノコニー/小学館クリエイティブ)に登場するカップルは、不一致だらけの2人。

 無料漫画アプリ「Vコミ」で連載中の同作は、作者のナギサノコニーさん(イラストレーター・32歳)と、その恋人・モリゾーさん(無職・40歳)の2人と、彼の飼う2匹の猫たちとの日常を描いたエッセイ漫画です。

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 友人宅でおこなわれたホームパーティーで知り合った2人は、音楽の趣味で意気投合。後日、モリゾーさんの家に遊びに行ったコニーさんは、それから3日間、彼の家で過ごすことになります。その間、男女の営み的なこともなく平穏に過ぎました。その後、コニーさんが去ったあとに畳まれた布団を見たモリゾーさんは「ずっといればいいのに…」と思ったことがキッカケとなり、お付き合いがスタートしました。

 ちなみにコニーさんは、これまで「お金貸してって言うバンドマンとかプロミスカードを魔法のカードって言う編集者とかしか付き合ったことがないので 夫が無職とか全然いい」という男前なスタンス。愛さえあればなんとやら、ですね。

 交際開始から間もなく、コニーさんは彼と2匹の猫ちゃんが住む一軒家に住むことになり、同棲がはじまりました。ここまでは順調なすべり出しなのですが、一緒に過ごすうちに、2人の生活スタイルがことごとく合わないことが発覚するのです。

 親戚の古い空き家に住み、猫が大好きで人間ギライ。ヘビースモーカーで、猫ちゃんたちのごはん代と自分のタバコ代くらいしかお金を使わず、小さい規模で小さく暮らしている無職のモリゾーさんは、リモコン類はまっすぐ並べて置き、外出すれば猫たちのことが心配ですぐに帰宅するほどの、度を超した神経質。

 一方のコニーさんは、ファンシーなぬいぐるみが大好きで、物が捨てられず部屋は散らかし放題。稼いだお金は飲み代にすべてつぎ込むマイペースな女性……。性格も価値観も、何もかもが違う2人は何度も衝突してしまいます。あるときは、コニーさんのいびきがうるさいという理由で、寝ている彼女の口にガムテープを貼られたことも……。

 激しいケンカをするたびに、家出を覚悟するコニーさんでしたが、周囲の猫たちやモリゾーさんとの和解を経て、2人の日々は続きました。そんななか、コニーさんとモリゾーさんの同棲生活にある大事件が発生し、2人の関係に大きな変化が訪れます……。

 大事件については本編をチェックしていただくとして、単行本化を記念して、作者のコニーさんにコメントをいただきました。単行本化にあたって彼氏のモリゾーさんからお祝いの言葉が、コニーさんに贈られたそう。

「連載開始当初から『読むと絶対に何かいいたくなるから見ない』といって、彼は本当に一切読んでいないので、自由に描いてます。ただ、単行本が出たことについては『おめでとう』といって褒めてくれました。普段は全然褒めてくれないんですけどね……」

 そして最後に『ダーリンは無職、でも猫が好き』の楽しみ方をお聞きしました。

「生きづらさを抱えている人や、変わった人とうっかり付き合ってしまった人。絶対的に価値観が合わない恋人と、なんとか一緒にやっていきたい人は、共感できる部分も多いと思います。もちろん、漫画好きな方にもオススメです!」

 現在は「新婚編」と題し、新たなステージに向かうために模索する2人の姿がVコミで連載中。思わず応援したくなってしまう“おかしな2人”の恋愛譚、お手にとってみては?

文=丸井カナコ