「やばい」を連発しているボキャ貧大人必読! 知性を感じさせる大人の語彙力とは?

ビジネス

更新日:2017/9/4

『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(吉田裕子/かんき出版)

 大人の品位は語彙力に宿る。大人になっても、「やばい」を連発している人や、「愛くるしい」「可憐」「清楚」などと表現すべきことをすべて「かわいい」の一言ですませる大人には、残念ながら、知性は感じられない。あなたは、言葉の引き出しが少ないばかりに、周囲から呆れられていないだろうか。自分の語彙力に自信が持てない…という人は少なくはないはずだ。

 自分のボキャブラリーに自信が持てない…そんな人は、ぜひとも、『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(吉田裕子/かんき出版)を読んでみてほしい。この本は、今さら誰も教えてくれない語彙知識を養ってくれる1冊。大人として知っておきたい200の言葉を「言葉の語源や由来」「ニュアンス」「例文」まで詳しく解説しているから、今まで聞いたことがあるだけだった言葉も、すぐに使いこなすことができる。語彙力が低いまま大人になってしまった人たちにとって救いとなる1冊だ。

■「うれしいです」→「僥倖(ぎょうこう)」 / 「望外(ぼうがい)の喜び」

 喜びを表現する言葉はなかなか難しいもの。世間に将棋ブームを巻き起こした藤井聡太四段は、将棋の実力もさることながら、中学生とは思えない語彙力が注目されていたことをご存じだろうか。「僥倖としか言いようがない」「実力からすると、望外の結果」。「僥倖」とは思いがけない幸運のこと、「望外の◯◯」とは、予想以上に素晴らしい幸運に恵まれたということ。謙遜しつつも、喜びを伝える。そんな表現を私たち大人も使いこなせるようになるべきだろう。

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■「つまらないものですが」→「心ばかりの品ですが」

 土産などを相手に渡す時に、ついつい「つまらないものですが」という表現を使っていないだろうか。自分の用意したものを低く言うことによって、謙虚な姿勢を示すのは、決して間違いではない。ただ、せっかく心を込めて用意したものを「つまらない」と表現するのは、あまりにも卑屈すぎる。そこで、オススメしたいのが「心ばかりの」という表現。「ちょっと心の一部を表しただけで、物自体は大したものではありません」という意味の言葉は、とても温かみのある言葉。ちょっとした表現の違いで印象がだいぶ変わってくるのがわかるだろう。

■「お読みください」→「ご笑覧(しょうらん)ください」

 メールなどで添付ファイルを送る際、「ご査収ください」と書くことがある。その「査収」は、書類や金品などをよく調べて受け取ること。それと対照的なのが、「ご笑覧ください」という表現。こちらは「大したものではありませんが、笑いながら気楽に見てくれれば」という意味だ。相手に直接関係はないものの、一応お目にかける、という程度の資料を渡す時に、自分の仕事のできを謙遜して使うと良い。目上の相手に見てもらうことを敬った表現として、「ご高覧ください」というものもある。それぞれの言葉の特徴を理解し、使いこなせるようにしよう。

■「あれこれ心配させてしまい」→「気を揉ませてしまい」

 企業の謝罪会見などで、「ご迷惑をおかけいたしました」と謝るだけでなく、「ご心配をおかけいたしました」「お騒がせいたしました」と詫びているのを見かける。直接迷惑をかけた相手に詫びるだけでなく、自分たちのせいで多くの人の気持ちを動揺させてしまったことに対し、謝罪しているのだ。その気遣いは、個人のレベルでも持っておくのが大人の常識。気苦労をかけてしまった相手に、「気を揉ませてしまい」「気に病ませてしまい」「お心を煩わせてしまい」などといった表現で「申し訳なさ」を伝えるとよいだろう。

 さらりと美しい表現を使いこなせる大人になりたいものだ。この本は、語彙力に悩みを抱えるすべての人たちにぜひとも手にとってほしい。ちょっとした表現に気を配ることで、印象はガラリと変わるのだから。

文=アサトーミナミ