歯周病で認知症のリスクが高まる?! 正しい「歯のケア」とは

健康・美容

公開日:2017/8/25

『長生きしたけりゃ歯を磨いてはいけません』(豊山とえ子/SBクリエイティブ)

 いつまでも美味しく食べて健康でいるために、歯は大事。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」をスローガンに、1989年から8020(ハチマルニイマル)運動が推進されてきた。これは、年を取るとともに歯を失う人が多いということでもある。それはなぜか。実は、私たちの「歯磨き」に問題があるようだ。

 『長生きしたけりゃ歯を磨いてはいけません』(豊山とえ子/SBクリエイティブ)によれば、歯を「磨く」という概念が、日本人の虫歯や歯周病の元凶だそう。歯磨きで汚れが完全に落ちるわけではなく、歯がすり減り、歯肉は傷だらけになってしまうというのだ。さらに、歯周病は思いもよらない病気とも関連しているらしい。

■歯周病により認知症のリスクが増加

 歯周病がアルツハイマー型認知症と関係していることをご存じだろうか? 歯周病は慢性的に炎症が起こっている状態だが、この菌のひとつが、アルツハイマー型認知症の脳に高頻度で見つかっている。本書によれば、歯周病の症状が重い患者ほど、半年後の認知機能の低下速度が速いことも明らかになっているそう。さらに、「噛めなくなる」と脳への刺激が減り、認知症のリスクが高まる。今まで歯周病をそこまで大きな問題だと考えたことはなかったが、歯を失う危険だけではなく、深刻な病気をも引き起こす可能性があるとなれば、どうにかして予防したいところだ。

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■大切なのは「口内洗浄」

 口の中を清潔に保つには、プラークコントロールが鍵となる。プラークとは歯垢のこと。バイ菌の塊で、歯と歯肉の境目などに付着している。プラークを落として、口の中のバイ菌を増やさないようにするためには、「歯を磨く」というより、「口内洗浄」を行うことが大切だ。

 食後すぐに歯を磨くとよくない、と言われたこともあったが、これは人それぞれ。著者によれば、トゥースウェアという歯がすり減った状態の人にのみ当てはまるそうだ。この状態ではなく、虫歯がある、プラークが多い、などの場合は、食べ終わってすぐにケアして、口の中のバイ菌を増やさないようにすることを優先しよう。

■フロスや歯間ブラシを必ず使うこと

 残念なことに、上手に歯磨きをしても、歯ブラシがきちんと当たるのは、歯の全体の約5割。残りの5割を綺麗にするためには、フロスや歯間ブラシの使用が必須となる。特に、バイ菌は寝ている間に一番増えやすいため、就寝前のケアが大切。歯の並び方や隙間の広さによって、フロスや歯間ブラシの効果的な使い方が異なるので、詳細は本書でご確認を。

 夜のケアがしっかりできていれば、日中はフロスや歯間ブラシを使う必要はない。その代わりに、何かを食べた後には、ガムを噛むことが推奨される。ガムを噛むことで、歯の表面や噛み合わせに付着した食べカスを取り除くことができ、唾液の分泌が促進されて口腔内の除菌が進むのだ。本書では、具体的にオススメの商品も紹介されている。

 歯を失わないことはもちろん、できれば綺麗で健康な歯でありたい。そのために、毎日頑張って歯磨きをしていたのだが…半分しか磨けていなかったとは、残念でならない。しかも、朝・(昼)・晩としっかり歯磨きをするよりも、本書で提案されているケアの方が、時間も短縮できそうだ。他にも、口の中の状態別の歯のメンテナンス手順なども掲載されており、すぐに実行できる内容なので、これを機にプラークコントロールの正しいやり方を習得してみてはいかがだろうか。

文=松澤友子