成功する人は、なぜ「墓参り」を欠かさないのか?――運がいい人と悪い人の違い

ビジネス

更新日:2017/8/29

『成功する人は、なぜ、 墓参りを欠かさないのか?』(総合法令出版)

 先日、東京・渋谷の中心地で交通規制をして行われた「渋谷盆踊り大会」は、初の試みながら、なんと3万4000人が集まったという。

 夏の “お盆”は地方により、7月の新盆、8月の旧盆がある。その理由は、明治5年に太陰太陽暦から、欧米と同じ太陽暦(グレゴリオ暦)に改暦されたことによる。よって、お盆の期間を新暦に合わせた地方、地域慣習に従って旧暦のままで続く地方に分かれたそう。さて、盆踊りは各地で盛んだが、お盆に墓参りにいった人はどれくらいいるだろうか。

 『成功する人は、なぜ、 墓参りを欠かさないのか?』(総合法令出版)の著者で企業コンサルティングを生業にしていた千田琢哉氏は、3000人ものエグゼクティブとの交流から、長期的な成功者は皆、信仰する神の存在や自然界に「畏怖の念」の対象を持っていると導き出した。それは、逆らえない「自然の摂理」でもあるという。

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 タイトルを一見すると、お参り=先祖に祈りさえすれば成功するような印象を受けるかもしれないが、もちろん、そのような上辺だけでは、成功には遠い。合掌して祈ること自体は大事なのだが、そこに「畏怖の念」と感謝を持ち続け、墓参りをするのが重要なのだと説く。しかし、現実問題として、墓参りにそうそう行けない事情がある人もいるだろう。著者は言い切る。

故郷に帰る時間がなければ、部屋で合掌すればいい。
(中略)何かあってから合掌するのではなく、何もなく順風満帆な時期にこそ合掌して心を整えるべきなのだ。
1年に一度だけ帰郷して墓の前で合掌するよりも、毎日欠かさずに合掌して感謝し続けるほうがステージは上なのだ。

もし部屋で合掌する時間もないのというなら、その人生は間違っている。
「感謝する時間もないくらいに忙しい人生が果たして幸せなのだろうか」

 いくら順調だからといっても、忙しすぎる「多忙」は、やはり字のごとく、心を亡くしてしまうだろう。感謝の心がなくなれば、人もお金も去ってしまう。
また、運気については次のように述べている。当然だが、お賽銭は、願いが叶う前に“先納め”というのがポイントだ。

お賽銭の仕組みこそ、運気の仕組み。
お賽銭の仕組みは、自然の摂理に忠実に則っているのだ。(中略)お賽銭に限らず、この世のあらゆることにおいて、見返りを期待しないで先に与え続けることによって、巡り巡って良いことが返ってくるものなのだ。

 著者いわく「お賽銭をしたことなどすっかり忘れてしまうのが理想」とのこと。他にも「神に頼らず、自分を頼れ」「一発屋は運がいい人ではなく運が悪い人だ」など気になる項目が並ぶ。目には見えない「形而上学、形而下学の世界」「自然の摂理」という観点から、成功哲学を語っているのも興味深い。

 そして、運がいい人と悪い人の違いは何なのか。運がいい人は、先祖に“丁寧で、より感謝を伝える”合掌ができる人、運がよくなる神社・仏閣への参拝の心構えを知っている、慈善活動に運気のバランスを整える効果があることを理解しているから…など、強運を持つ成功者は「見えない世界を味方につける方法」を実践しているという。わかりやすく、時には具体例もあげ、とても実直に書かれている一冊だ。

 著者の千田琢哉氏は、損害保険会社本部、コンサルティング会社勤務を経て独立。その後は大型プロジェクトのリーダーとして活躍し、トップビジネスマンの世界で知り得た事実と長年の経験からの知恵を土台に、精力的に執筆。現在は文筆家として、人生やビジネスのステップアップに役立つ、多くの著書を生み出し続けている。

 先祖に感謝し、心が整う静かな場所で合掌する時間を作ってみよう。

文=小林みさえ