「地球侵略計画」で最も評価の高かった作戦は?―ウルトラセブン打倒&地球侵略に挑んだ宇宙人の失敗から学ぶべきこと

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2017/9/3

『ウルトラセブン 宇宙人たちの地球侵略計画 彼らはどうして失敗したのか』(中村宏治、一峰大二:著、円谷プロダクション:監修/マイナビ出版)

 もはや国民的番組といっても過言ではない「ウルトラ」シリーズだが、50年以上の歴史があるため「一番好きな作品は?」と聞かれれば、好みのほか世代によっても違いが出るだろう。ちなみに私はといえば、やはり『ウルトラセブン』と答える。怪獣と格闘して勝利するという単純なストーリーではなく、侵略宇宙人たちのドラマをも描き出した物語は秀逸で、本作を「シリーズ最高傑作」と評する声は非常に多い。ゆえに『ウルトラセブン 宇宙人たちの地球侵略計画 彼らはどうして失敗したのか』(中村宏治、一峰大二:著、円谷プロダクション:監修/マイナビ出版)のような、「セブン」のみにスポットを当てた考察本も登場してくることになる。

 本書の特徴としては視点が「地球」側ではなく「侵略宇宙人」側であるということ。そのため地球防衛戦力である「ウルトラ警備隊」や「ウルトラセブン」の戦力分析や弱点を考察するという体裁が採られている。地球に対して行なわれた全45回の侵略作戦を「戦略」「発想力」など7つの項目で数値化。作戦の推移など詳細な分析・考察がなされている。

 ではその中で、最も評価の高かった作戦はどれか。それは最終作戦ともいうべき第48、49話「史上最大の侵略」(前、後編)だ。先日TBS系で放送された『怪獣倶楽部』という番組でも取り上げられたエピソードで、7項目を各10点評価で「61点」の高得点をたたき出している。作戦概要としては、地球占拠を目的とする幽霊怪人・ゴース星人が人類に対し降伏を勧告。従わぬ人類に対し、双頭怪獣パンドンや地底ミサイルを用いて攻撃する。一方、度重なる戦闘により疲弊したウルトラセブンだったが、最後の力をふり絞って侵略者との戦いに臨む──といったものだ。

 評価としては「地球人類の防衛機構が及ばない地下からの攻撃は有効であった」とし、また全人類を人質にしたことなど「戦略」「効果」の項目で満点を獲得。しかし地球防衛軍の基地をミサイル攻撃していなかったり、自らも地下からの攻撃に無防備であったりしたことあたりがマイナス評価となっている。寸評で「人の振り見て我が振りを直すべきだった」としているのは、人類同様に地底の防衛が甘かったからだ。

 本書では45回の作戦分析をふまえ、地球征服にはやはりウルトラセブンの打倒が必須と結論。その弱点として「ウルトラアイ」がなければ変身できないことや、寒さに弱いことなどを示して作戦案を提示している。その中で面白かったのが「複数の敵との戦いに不慣れ」というもの。確かに「セブン暗殺計画」でセブンを戦闘不能に追い込んだガッツ星人は、分身技でセブンを翻弄していた。実はこの考察が、後の「セブン攻略」に繋がることになる。

 ゴース星人との戦いの後、M78星雲へと帰還したセブンだったが、7年後に再び地球防衛の任に就いている。『ウルトラマンレオ』という作品でのことであるが、その冒頭で地球侵略に現れたマグマ星人が双子怪獣のレッドギラスとブラックギラスを操り、セブンに挑戦。複数体の攻撃を受けたセブンは右足に深刻なダメージを負い、変身不能の状態へ追い込まれてしまうのだった。まさに「セブン攻略」作戦が結実した瞬間だったが、新たな守護者・ウルトラマンレオの登場は侵略宇宙人にとって計算外であったかもしれない。

 現在、シリーズ最新作『ウルトラマンジード』でも「ウルトラカプセル」として登場し、さらに「ウルトラマンゼロ」の父親でもあるなど、その存在感は増すばかりのウルトラセブン。本書のような作戦検証だけでなく、親子関係などにも考察の余地はありそうなので、興味がある人はぜひ挑戦してほしい。

文=木谷誠