セクシー女優との本音トークは毎回最高潮! 水道橋博士としみけんが送るテレビ番組が書籍化! 

エンタメ

公開日:2017/9/9

『水道橋博士のムラっとびんびんテレビ』

 かつて、「エロい」テレビ番組が当たり前のように放送されていた時代があった。家族の目や深夜特有の眠気と戦いながら、ブラウン管にかじりついていた視聴者が日本中に存在していた。しかし、時は経ち、「エロ」はどんどん地上波から締め出されていった。健全な番組が並ぶテレビ番組表を味気なく感じる人も多いだろう。

 そんな男性たちの期待に応える番組がJ:COMオンデマンドに登場した。『水道橋博士のムラっとびんびんテレビ』である。めでたく同名タイトルで書籍化されたその内容は、最近のテレビに欠けていた「明るいエロ」にあふれている。

 水道橋博士(浅草キッド)と、経験人数約9000人のトップAV男優・しみけんをパーソナリティーに迎え、毎回ゲストのセクシー女優とセキララなエロトークを繰り広げる本番組。放送中に博士が思わず「楽しい!」と声に出してしまうほど、遠慮のない内容が大反響を呼び起こしている。

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 たとえば、定番コーナー「ムラびん人生グラフ」では女優たちのHな生い立ちが、折れ線グラフで告白されていく。2代目恵比寿★マスカッツ副キャップとしても有名な川上奈々美は、高2で大失恋をしてグラフがどん底に落ちるものの、「おにゃにー」に目覚めてV字回復を見せていく。グラフをいろどるオモチャのイラストが微笑ましいやら、エロいやら。

 衝撃的なのは紗倉まなだ。彼女のグラフの始まりはなんと0歳からなのである。「なんか楽しかったような記憶はあって」と語る彼女は、4歳か5歳でひとりHの方法を確立、現在にまで受け継いでいるという。

 男性経験や好きなプレイ、AV撮影の秘話を隠さず語っていく彼女たちに博士は必死でツッコミを入れ、しみけんは豊富な知識量で補足説明を加えていく。2人の阿吽の呼吸が心地いい(ちなみに、毎回ゲストが登場するたび、しみけんとの「仕事経験」を聞き出して、博士が劣等感を抱くのがお約束となっている)。

 人気コーナー「しみけんのシミのできるテクニック」も収録。本コーナーでは水着姿になったゲストと共に、しみけんが視聴者からの性の悩みに答えていく。「精力がつく方法」「旦那に浮気をさせない方法」などに対し、送られるアドバイスはかなり具体的だ。

 しかし、本番組が興味深いのは、男性の性欲の対象としてセクシー女優を眺めるだけではなく、女性の本音に男性側が気づかされる点である。某難関大学出身の澁谷果歩が、知的な言葉でオナニーや奔放な男性遍歴について語っていくのを読んでいると、女性が「性」についてオープンになってきた時代だと実感させられる。事実、ゲストのほとんどが素人時代から、手軽にAVを鑑賞していたという。一方で、多くの女性はイメージダウンを恐れて、人前で本音を明かすことがないまま暮らしている。人気セクシー女優には女性ファンも多いというが、彼女たちはある意味で同性の代弁者なのだろう。

 巻末には博士が「生まれ変わったらなりたい人」として挙げるAV監督、カンパニー松尾との対談が収録されている。ほぼ同世代で「エロが好き」という以外、全く違う人生を送ってきた博士と松尾だが、実は「反骨心」という意外な共通点があった。

松尾 「(前略)世間に対してどれだけふざけていられるかというのが持ち味だから。」
博士 「差別や偏見があるからこそそこに挑戦していく。(中略)はっきり言って、真面目に生きている人に白い目で見られたいんです。」

 まともな大人では思いつかないアホでエロなトークは、だからこそ読者を元気な気持ちにさせてくれる。そして、息苦しい時代に必要とされているのは本番組のような「健康的な不健全さ」ではないかとも思うのだ。

文=石塚就一