「ひとりが気楽」から抜け出せる!? 恋愛偏差値マイナス、30歳漫画家が「モテる」を突き詰めると…

アニメ・マンガ

2017/9/12

『モテ考 30歳独身漫画家がマイナスから始める恋愛修業』(KADOKAWA)

 独身アラサー女といえば、恋に仕事に結婚に、思春期に次いで悩み多き年頃。と、呼ばれているかどうかは不明ですが、世の中的には悩みが多そうなイメージですよね。しかし、実際のところはどうなのでしょうか? ちなみに、独身29歳の筆者には、みなさんにお伝えするほどの悩みがありません。結婚に関しても、何の対策を講じることなく、この年齢を迎えました。しかも、心のどこかで「独身は気楽」なんて思っている自分がいる始末……。

 自分語りが過ぎましたが「独身の気楽さ」を知ってしまった人が、今の生活を脱け出すためには、それ相応のキッカケが必要なんじゃないか、とぼんやり考えています。

 そして、先日発売された『モテ考 30歳独身漫画家がマイナスから始める恋愛修業』(KADOKAWA)の作者・緒方波子先生も、まさに「独身」を謳歌しているタイプの女性。同書は、プロレス観戦、ラジオを聞く、インドカレー屋巡りという「30代独身男の休日」のような趣味を持ち、ハマっている海外ドラマと仕事に追われる毎日を「楽しくて気が狂いそうだ!!」と感じている彼女が、“モテ”について真剣に考えたコミックエッセイです。

 緒方先生がモテを考えるキッカケとなったのは、同書の担当編集者から送られてきた一通のメール。そこに書かれていたのは、新連載漫画のアイディアだったのですが……

●一人で遊ぶもん!…波子さんが一人で遊んでみる。
●社会の窓、開いてますよ…波子さんが社会と関わってみる。
●私がモテないのは誰のせいでもない…波子さんがモテなくてもはりきって生きる。

 漫画の企画とはわかっていても、正直泣きそうです。ここまで、他人から向けられた「客観的イメージ」が文章化され、本人にダイレクトに伝わってしまう悲劇があったでしょうか。このメールを受けとった緒方先生は「私がまるで孤独で社会性もないモテない人みたいに思われるじゃないか!」と激昂しますが、相棒の“鳥”に「すでに思われてるからこんな企画がくるんだよ」と、すかさずツッコまれます。このままでは“おしゃれでアーバンな恋愛漫画”を描くときの説得力がなくなってしまう、という危機感に苛まれた彼女は一念発起。

 イメージを変えるべく、モテ本を大量に購入しますが、それらは「デートする相手」や「合コンに行く」といったチャンスがある人に向けて書かれているものばかり。そう、緒方先生はデートをする相手もいなければ、友達がいても何故か自分だけ合コンに誘われないタイプの人。モテ本の読者として想定されていないタイプの人であることに、否応なく気づかされたのでした。

 厳しすぎる現実に直面した彼女が「私の私による私のためのモテを考える」ために描かれた一冊こそが『モテ考』なのです。その後、モテについて真剣に考えてこなかった緒方先生は、本気で化粧をしてみたり、自分の好みのタイプは「荒俣宏」という気づきを得たり(!?)、3日間の断食修行に参加したりと、かなり独特な観点から“モテ”を考えつづけます。

 彼女をここまで駆り立てたのは、仕事であると同時に、これまで一人だけで成立していた世界に、ムリやり介入してきた“他者の目”だったのかもしれません。“モテること”について、一度も考えたことがない! そんな人にオススメの一冊です。

文=丸井カナコ