少数派じゃない「敏感で傷つきやすい」気質を変えてラクになる方法とは?

ライフスタイル

2017/9/12

『過敏で傷つきやすい人たち-HSPの真実と克服への道』(岡田尊司/幻冬舎)

 「物音や話し声が気になって集中できない」「人から言われる言葉に傷つきやすい」など、他の人に比べて自分は少し敏感なのかもと思ったことはないだろうか。

 実はそういった過敏な人は決して少数派ではないらしい。「敏感すぎる人」を意味するHSP(Highly Sensitive Person)という用語は近年、一般の人の間で使われるという。周りから理解されにくい過敏性は、生きづらさを生むだけでなく、人間関係や会社勤めを困難にしたり、病気につながったりすることも。

 そんな辛さを持つ人に、幸福で充実した人生を送るためのヒントを教えてくれるのが『過敏で傷つきやすい人たち-HSPの真実と克服への道』(岡田尊司/幻冬舎)だ。幼い頃から過敏な神経と心に苦しんできた著者自身の経験と、精神科医として経験したことから、HSPの真実と克服する方法を解き明かしている。著者によれば、過敏性は生まれ持った体質や性格だけで決まるものではなく、さまざまな過程や歴史の中で育まれるという。自分の傾向を理解することで、対処法や生き方の知恵も見えてくるとしている。

 過敏性には、香水などの強い匂いが苦手、体に触られるのが嫌といった感覚過敏などの神経学的レベルの過敏性と、人の顔色を過度に窺う、傷つきやすいといった心理社会的な過敏性がある。「心理社会的」とは、心理的な面と社会的な面の両方をさす用語で、こちらの方が、生きづらさや幸福度との結びつきが強いそう。

 本書には過敏性チェックリストがあり、8つのセクションのどこに多くチェックが入ったかで、自分の傾向が確認できる。例えば、「1人でいることが不安で、いつも誰かに頼りたくなる」「些細な相手の素振りにも、嫌われていないか不安になる」といった項目にチェックが多い場合、「愛着不安」の傾向が強い心理社会的過敏性。愛着している存在だけでなく、それ以外の他者からも嫌われたり拒否されたりしていないかと過度に敏感になり過剰反応しやすい。人から受け入れられているという心理的な安心感と幸福度がより強く結びついているため、相手に認められていないと感じると、幸福度が低くなる。他にも「妄想傾向」「回避傾向」などを見るセクションがあり、そのスコアによって自分のプロファイルが出来上がる。

 自分の傾向を知った後、それを克服するためにできることの1つは、理想の自分について考える、人に親切にするなどで、肯定的な感情や認知を増やすこと。第2に、自分の視点にとらわれず、行動に変化を加えること。第3に、安心感の拠り所となる存在「安全基地」を確保すること。自分の中に人の評価や思惑に左右されない領域を育み、自分なりの行動を肯定できた時に、周りとの関係も安定してくると著者は見ている。それぞれに多様な要素が含まれ、原因もさまざまな過敏性。本書では臨床的知見と具体的な事例を多数示して解説されているので、過敏な傾向を持つ人には、ヒントとなることも多いはず。

 過敏性は、優れた表現力や創造性と結びつくという。かの文豪、夏目漱石も感覚過敏だったそうだ。悩み苦しむより、上手に付き合いながら、マイナス面をプラスに変えていく方が得なのではないだろうか。

文=三井結木