フリマアプリで頭を悩ませる“売れる写真”の撮り方を検証してみた!

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公開日:2017/9/19

『シンプル・フォトレッスン』(関根統/グラフィック社)

 昨今、フリマアプリが好調である。経済産業省発表のデータによれば、2016年度に個人間取引が可能なフリマアプリの市場規模は3052億円で、今年に入ってからも拡大傾向にあるという。利用者の多くは若い女性や主婦で、人気なのは主に「レディースファッション」や「コスメ、香水、美容」といったジャンル。それに伴い、様々なフリマアプリも登場している。

 なかでも最大手の「メルカリ」は国内5000万ダウンロードを突破するほどの人気で、2017年5月にマクロミルが発表したフリマアプリの利用実態調査によれば、15~69歳のフリマアプリ利用者1000人のうち約94%のユーザーがメルカリを使っているという結果もある。商品点数の豊富さ、匿名での発送や商品代金の全額補償などの特典を受けられる「らくらくメルカリ便」などが人気の理由だ。

 また、女性向けファッションアイテムを数多く取り揃える「フリル」も人気アプリの一つ。サービス開始は「メルカリ」よりも1年早く、草分け的存在としても知られる。現在はジャンルを問わず出品できるようになったが、いまだファッション系に強く、ブランドやサイズ、カラーを細かく設定して検索できるのも強みだ。

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 この他、ハンドメイド商品を売買できる「minne」や、アニメや漫画などのグッズに特化した「オタマート」など、アプリストアで「フリマ」と検索してみると、用途やジャンルも様々なフリマアプリを見つけられる。

◎100円均一ショップの便利アイテムを使って写真のクオリティをアップ!

 買うだけではなく、出品できるのもフリマアプリならではの魅力。ちょっとした空いた時間を利用して出品に励む人たちも少なくないだろうが、そんなときに頭を悩ませるのが“売れる写真”の撮り方である。検索を意識した文章が大切なのはもちろん、写真の持つ力も出品のコツ。どんなに自信がある商品であっても、その仕上がり一つで売れ行きも左右される。

 そこで今回は、フリマアプリでの撮影テクニックを伝える一冊『シンプル・フォトレッスン』(関根統/グラフィック社)にならって、実際のモノを撮影するいわゆる“ブツ撮り”を実践してみた。初めに撮影のために必要なアイテムを用意したので、紹介してみたい。

 すべて100円均一ショップでそろえたので、お値段は合計500円ちょっと。写真左上はスマートフォン用の三脚で、左下にあるのはイヤホンジャックに差し込めば遠隔でカメラのシャッターを切れるというすぐれモノ。どちらも手ブレ防止には欠かせないアイテムだ。

 そして、色画用紙は2通りの役割がある。一つは、白画用紙を写真の光量を調整するためのレフ板代わりとして使うため。もう一つは、商品の雰囲気をガラっと変えてくれる背景として使うためで、養生テープは壁などに固定するために使用した。

◎イマイチな写真と改善した写真。どっちがより“購入したい”と思えるか?

 被写体として選んだのは手の平サイズのグラスである。本書によれば、グラスは「境界線(エッジ)が透明なものが多く、形が伝えづらいので難易度の高い作品」であると示されていたからだ。それではまず、1枚目の写真をご覧いただこう。

 このカットは、本書のイマイチな例を再現したもの。見直すべきポイントは複数あるが、まず取り上げたいのは背景の問題だ。透明なモノに白無地の背景を使ってしまうと「境界線がわかりづらくぼやけた印象」になってしまい、光が反射することから手前と奥の絵柄が合わさって見えてしまう。

 また、アングルもやや難アリで、本書によれば上からの撮影だと「グラスの縁が強調された写真」になってしまい、正確な形が伝えられなくなる。では、どのように改善すればよいのか。続けて、2枚目の写真をご覧いただこう。

 いちばんの改善点は背景で、「背景を濃色にすることで、グラスとの境界線がはっきり」するというアドバイスをもとに黒をチョイスしてみた。また、背景色を変えたことで、先ほどよりもグラスの彫刻が鮮明に浮き出て見えるようにもなった。

 さらに、もう一つ肝心なのがアングルだ。グラスの場合、水平に撮影することで「実際の形をそのまま伝える」ことができるようになるメリットがある。特にデザイン全体をアピールするならば、この角度から撮影するのがポイントになる。

 ちなみに、これら2枚がフリマアプリで掲載されていた場合に、どちらを“購入してみたいか?”とツイッターでアンケートを取ってみた。結果は白い背景のグラスが29%、黒い背景のグラスが71%で多くの支持を得た。

 写真についてのコメントもいくつか届き「一緒ですよね?」と同じモノに思えないといった意見や、黒い背景で引き締まったことから「高級感がある」といった意見もあった。また、購買意欲がわくのは黒い背景のグラスであるものの、白い背景のグラスは「割れ欠けの有無を確認しやすい」という興味深い声もあった。

◎もうひと手間を加えて“モノの裏側”までハッキリ見せるのも肝心!

 フリマアプリは掲載可能な写真点数が限られている場合が多い。そのため商品の細かな部分をどこまで伝えるかも頭を悩ませるところだが、例えば、先ほどのグラスだと以下のような写真を加えてみるのはどうだろう。

 実際にグラスを手に取っている写真があれば、どれぐらいのサイズなのかとイメージも付きやすい。生活感のある場所、例えばテーブルの上で握っている写真などもあれば、使っているときのイメージもより伝わる。

 モノの“裏側を伝える”というのも肝心なポイント。今回のグラスでは、例えばこのように底面がどうなっているかを撮影するのも一つの手段で、このほか、中古品であれば傷ついた箇所を正直に伝えたりするのも大切だ。

 さて、改めて実践してみて感じられたのは“ほんのひと手間”で写真のクオリティが格段にアップするということ。商品の魅力が伝わる写真で、フリマアプリをさらに有効活用してみよう。

取材・文・写真=カネコシュウヘイ