どんなに残業しても19時半ごろにはオフィスが空っぽ! 生産性を上げるヒントは、ドイツにあり!

ビジネス

2017/9/28

『仕事の「生産性」はドイツ人に学べ』(隅田貫/KADOKAWA)

 日本とドイツは似通っているという意見がたびたび聞かれる。国は違えど真面目に物事へあたる姿勢や、勤勉さが似ているといった理由からだ。実際に国土面積はほぼ同じ、2016年における国別のGDPをみても日本が3位で、ドイツが4位とその関係が“隣同士”であることも多い。

 それなのにドイツ人は日本人と違って「休暇は年5~6週間分は取る」「日々の残業は限定的」と悠々自適に働いていると紹介してくれるのは、9月28日に電子書籍が配信された『仕事の「生産性」はドイツ人に学べ』(隅田貫/KADOKAWA)である。ドイツでの20年間にわたる勤務経験を持つ著者は、完璧主義な日本とは異なり「場合によっては70点でもいい」という精神が現地には流れていると示す。

◎労働効率を重視するドイツでは平日が「働く日」

 日本とドイツには共通点があると本書はいう。第二次世界大戦の敗戦国であり、その後はたがいに工業立国として発展を遂げてきた。自動車が基幹産業であるのもその一例で、どちらもいまだ“モノづくり”を得意とする国だ。

 ただ、働く人たちの価値観が異なるというのが本書の主張だ。例えば、平日を日本人は「普段の日」と捉える一方で、ドイツでは「働く日」と捉える人たちが少なくないという。これはキリスト教圏であるのも理由で、ドイツでは週末が安息日とされる。労働自体も「苦役」だという意味合いが含まれることから、安息日はそこから解放される一日になるのだ。

 また、著者は実体験をもとに「ドイツ人は働きすぎない」人種だと語る。実際の職場でも、社員がそろうのは朝9時前後だが、9時を過ぎて出社しても、誰もとがめない。18時を過ぎるとみんなさっさと「また明日」と帰っていき、どんなに残業しても19時半ごろにはオフィスが空っぽになる。サービス残業や過労死などが問題視される日本からするとうらやましくもなるが、背景には「労働効率」を何よりも重視するドイツの文化があるのだという。

◎メールの時間を“1分”節約するだけで効率化を図れる

 本書では、著者がドイツで学んだ仕事術も紹介されている。社会人にとって頭を悩ませがちな「時間管理」はその一つだ。今や必須の連絡手段であるメール一つとっても、やり取りの方法に日本とドイツの違いが表れるのだという。

 一般社団法人日本ビジネスメール協会が2017年に行った調査によれば、日本でのメール一通を書く平均時間は6分で、送信件数は12.62通だとされる。これらをかけ合わせると1時間以上となり、改めて考えるとけっこうな時間のロスになっているのも分かるだろう。

 本書のケースでいえば、例えばデータの差し替えをお願いする場合。ドイツでは「送られたデータが違う」と送信すると、相手からは「では、このデータを受け取ってください」と簡潔な返信が来るという。

 日本の場合は「ご迷惑をおかけしてしまい、たいへん申し訳ございません」と丁寧な謝罪文から始まりそうなものだが、習慣の違いはあれど、前置きの挨拶文を短くするなど、シンプルなメールによって費やす時間を「1分でも削ろう」と意識すれば時間の節約にもつながる。

 仕事の効率化は、社会人にとって永遠の課題かもしれない。正解がないのも悩ましいところではあるが、たがいに似た風土を持つドイツに学ぶというのは日々の仕事にもきっと活かされるはずだ。

文=カネコシュウヘイ