保育所や幼稚園の先生が知っておきたい、発達が気になる子の「感覚統合」とは?

出産・子育て

2017/9/22

『保育者が知っておきたい 発達が気になる子の感覚統合』(木村順:著、小黒早苗:協力/学研プラス)

 このところ「発達障害」が話題になっているせいか、ちょっと気になる点があるとすぐ「アスペルガー症候群」や「ADHD」などに結びつける傾向がある。だが、特に診断名のつかない「グレーゾーン」という領域があり、「支援が必要な子供」とは見なされないまでも、対人面のトラブルや集団へのなじみにくさなど気になる様子が見られるケースがあるのをご存じだろうか? 実際、そのゾーンにあたる子供こそ数が多く、近年は増加傾向。そうした子の多くが「感覚」の使い方につまずきがあり、適応力(その場、その場の状況に合わせる力)に未発達やゆがみが生じてしまっているという状況なのだという。

 適応力の育ちというのは、もともと「理性・思考力・意欲」を司る脳の前頭葉に由来する一面だが、そうした脳の機能を十分に活性化するのに必要なのが「物質的栄養」と「適切な感覚情報」。実は最近の子供は木登りや砂遊び、ボール遊びなどの外遊びをしなくなったことで感覚刺激が乏しくなり、脳の機能が十分に活性化されていない状況になっているようなのだ。その結果、脳の中に流れ込んでくるさまざまな感覚情報を整理できなくなってしまい、適応力につまずきが出てしまう(図1)。

感覚統合のつまずきはどんな適応力のつまずきとして表れるのだろうか?

 問題は、どうすればその感覚統合のつまずきを改善できるのか。そこで参考にしたいのが『保育者が知っておきたい 発達が気になる子の感覚統合』(木村順:著、小黒早苗:協力/学研プラス)。保育者とはズバリ、保育園や幼稚園の先生のことで、いってみれば専門家向けの指南書なのだが、その実践力は子供に育てにくさを感じるママの強い味方になるだろう。

 本書によれば、感覚統合には「触覚」「平衡感覚」「固有覚」「ボディ・イメージ」の観点があり、たとえば絵を描いたりする時、すぐ机に突っ伏してしまう子は、「やる気がない」のではなく、平衡感覚のうちの脊髄系がうまく働かず身体の軸を維持しづらくなっているかもしれない、とのこと。こうした知識を得ると、子供の育てにくさの捉え方に新しい視点が生まれてこないだろうか。

 なお本書は「感覚統合の基本を知る」→「ありがちなケースごとに行動の原因を考える」(例:着替えが上手く出来ない→ボディ・イメージの未発達&平衡感覚の低反応)」→「現職保育士さんが教える感覚遊びをやってみよう」の3ステップでこうした感覚統合への理解を促してくれる。基礎から応用までわかりやすく構成されているので、順をおって読み進めていけばかなりのヒントになるはずだ。

 ちなみにステップ3の感覚遊びには、道具を使うものもあるが、手をつないで大人の身体をよじのぼってでんぐり返しをしたり、膝にのせてドライブごっこをしたりと、親子の触れ合い遊びも多数。わらべうたで手遊びなど、昔からの遊びに感覚を育む知恵が生きていたことを知るのも、新鮮な驚きだ。

文=荒井理恵

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