給料0円が年収1600万円に!? 力士の生活が激変する運命の番付とは…

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公開日:2017/9/27


■力士の収入、実はサラリーマンのような給料制?

 プロスポーツ選手といえば、自分の実力で稼ぐ個人事業主のようなイメージがありますが、力士は月給や賞金を日本相撲協会から受け取るサラリーマンのようなシステムになっています。自分の相撲部屋から、ではないんですね。

 月給はサラリーマンの役職同様に、その地位で決まります。トップに君臨する「横綱」の月給は282万円。年額給与にすると3384万円。ボーナスにあたる年額賞与(2カ月分)が564万円、各種手当を加えると年額報酬は約4600万円になります。ちなみにここには、懸賞金やテレビCM出演料などは含まれていません。

 同様に「大関」月給=234万7000円(年額報酬=約3700万円)、「関脇・小結」月給=169万円(年額報酬=約2600万円)、「平幕(前頭)」月給=130万9000円(年額報酬=約2100万円)、「十両」月給=103万6000円(年額報酬=約1600万円)……となっています。

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 大相撲中継やスポーツニュースなどで「中入り後の取り組みを……」という表現で紹介される平幕以上の力士の戦い、画面に映る彼らはみんな年収2000万円プレーヤーということになります。

 なかなかいい金額を貰っている……そんな印象があるかも知れません。しかし十両以下の番付、「幕下」「三段目」「序二段」「序ノ口」の力士は、月給はゼロ円です。本場所の手当などはありますが、十両が月給100万円超えに対し、幕下は0円。ここに大きな大きな“境目”があります。

■天国と地獄の境目は「関取」であるか否か

 関取という名称、これは十両以上の力士を指します。つまり、幕下から十両に上がると“関取”になれ、給料がいきなり100万円超もらえるようになるのです。給料0円から年収1600万円に、逆に年収1600万円から給料0円に……天国と地獄くらい違う境目ですね。

 では平成29(2017)年9月場所で、各番付の人数を確認してみます。横綱=4人、大関=3人、関脇=2人、小結=2人、前頭=31人、十両=28人、幕下=120人、三段目=200人、序二段=214人、序ノ口=56人、これに加え番付外の力士がいて、トータル力士の数は700人前後。給料の出る十両以上の、関取の人数は70人。そう、1割しか給料をもらえていない、かなり狭き門ということになります。

 十両、つまり関取になると「○○関」と呼ばれ、本場所では大銀杏を結います。化粧廻しや座布団が用意され、付け人が身の回りの世話をするなど給与面以外でも待遇が大きく変わります。※ちなみに関取という呼称は、「名乗っただけで関所を通ることができる」ことに由来。

 有名力士の引退会見で、現役生活で最も印象に残っていることを質問されるシーンがあります。初優勝を決めた一番、大関になった時、横綱になった時……などの言葉が出てきそうですが、「十両に上がれたとき」を挙げる力士が数多くいるのは、上記の事実があるからです。

 毎場所、幕内優勝争いは当然注目を集めますが、幕下・十両付近にいる若手力士にも目を向けてみるのはいかがでしょうか。

文=citrus コピーライター・PRコンサルタント 菅野夕霧