日本では100人に1~2人が有病者――「きれい好き、心配性」と「強迫症」の違いって?

健康・美容

2017/9/27

『本人も家族もラクになる 強迫症がわかる本 ココロの健康シリーズ』(松田慶子:著、上島国利:監修/翔泳社)

「過剰に手を洗ってしまう」「ガスの元栓や玄関の鍵は決まった回数を繰り返して締めないと気が済まない」…そんな自分は「強迫症」ではないかと不安に思っている人がいるかもしれない。

『本人も家族もラクになる 強迫症がわかる本 ココロの健康シリーズ』(松田慶子:著、上島国利:監修/翔泳社)によると、強迫症は世界中で見られる病気で、日本では100人に1~2人が有病者だという。発症年齢は18歳以下が過半数を占め、なかでも10歳前後に1つのピークがあるため、症状に悩む子どもは多いようだ。

 ちなみに、「きれい好き」「心配性」と「強迫症」の違いは、「日常生活が邪魔され、困っているかどうか」。1日に1時間以上、その行為に時間がとられていることが、病気と診断される目安の1つとなっている。

 几帳面、細かいことにこだわる、完全主義、融通が利かないといった性格は、精神科では「強迫性パーソナリティー」と呼ばれ、この性格のせいで周囲の人とひんぱんに衝突したり、日常生活や社会生活に著しく支障が出たりするような場合は「強迫性パーソナリティー障害」と病名がつけられるが、「やめようと思ってもやめられない」という点で性質が異なるので、強迫症とは別物とされている。

 強迫症は、病気に命じられた行為を自分だけで繰り返す「自己完結型」と、家族にも協力を求める「巻き込み型」に大別される。

「巻き込み型」は家族も巻き込まれてしまう。

例えば「家の外は汚い」という考えにとらわれている人が、帰宅した家族に玄関先で着替えてくれと頼む。自宅のトイレを清潔に保たなくてはいけないという考えにとらわれている人が、トイレの使用を許さないので、家族は仕方なく公園やコンビニのトイレに行く…。

 家族は、有病者が不安や不快に苛まれている姿を見て、できるだけ言うとおりに協力しがちだが、皮肉なことにこうすることで一時的に本人の不安はやわらぐものの、長い目で見ると症状がエスカレートしていくという。進行すると、有病者はうつ病を発症するケースもあるようなので、気をつけたい。

 本書によると、強迫症の治療方法は、ここ20~30年で大きく進歩した。強迫症が発症するのは、精神の安定をもたらす神経伝達物質のセロトニンの量が少なく十分に機能していないためとみられ、今ではセロトニンの機能を助ける薬が用いられている。

 日本ではまだ一般的ではないが、イギリスやアメリカでは、薬物を使わない認知行動療法が強迫症治療の中心を担っているという。認知行動療法の1つ「暴露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)」では、本人が不安に感じる状況にあえて身を置きながらも、不安に反応せず、強迫行為をガマンする。こうすることで、不安に慣れ、悪循環を断ち切っていくという。

 強迫症有病者の周囲の人は、行為はすべて病気の症状だと理解し、行為に協力することはせず、回復の方法を知らせるなどして症状の改善を信じて待つことが大切なようだ。

文=ルートつつみ