SMAPの軌跡とこれからの未来を、“6人”に支えられて人生を歩んだファンが語る!『SMAPと、とあるファンの物語』

エンタメ

2017/9/28

『SMAPと、とあるファンの物語』(乗田綾子/双葉社)

 2016年12月26日、『SMAP×SMAP』最終回。録画しておくつもりが、うっかり観はじめてしまいそのままラストで本気の大泣きをした。とくべつファンだったわけではない。それなのに涙がこみあげてきて、どうしてこの人たちが離れ離れにならなきゃいけないんだろう、とただ苦しくなった。たかがアイドルの解散に大騒ぎして日本は平和だ、と毒づいていたはずの実家の親さえ、「全部みちゃった。やるせない」と切なそうに呟いていて、SMAPって、なんて偉大なのだろうと心から思った。こんなに世代を超えて日常に浸透し、当たり前のように親しまれ愛されている人たちがいるだろうか、と。

 メディアは好き勝手言う。まことしやかな噂だけが独り歩きし、誰も本当のことなんてわからない。けれど『SMAPと、とあるファンの物語』(乗田綾子/双葉社)は、そんな中でも信じられる、というより信じてもいいと思える、ひとつの真実である気がした。

 本書はタイトルどおり、SMAPに会ったこともないファン歴22年の著者によるエッセイだ。これまでのインタビューやバラエティでの発言など、資料にもとづきSMAPの歴史をジャニーズ入所前から年代を追って綴るとともに、常にSMAPが身近にいた自身の人生を振り返っている。とはいえ、著者もいつだって全力投球でSMAPに愛を注ぎ続けていたわけではない。進学、就職、挫折。彼女は彼女で、SMAPとは関係のないところで自分の人生に苦しんだり、幸せを得たりしながら、道を歩んできた。それでもふとした瞬間、SMAPの存在が、家族や友達のように支えとなってきたのもまた事実。それはたぶん、彼女以外のすべてのファンにとって同じなんじゃないだろうか。

 SMAPに関しては、淡々と事実が重ねられていく本書だが、改めてその軌跡を知ると、彼らが(脱退した森さんも含めて)どれだけSMAPを大事に想ってきたかがわかる。

 たとえば個人活動がめだち解散が囁かれるようになってきたころの、中居さんの発言。「俺はバラバラになったっていいじゃないかって思うのよ。(略)離れて好きなことやって、また帰ってくればいいんだからさ。SMAPはそれができるグループなんだよ」。木村さんが結婚したときの、稲垣さんがエッセイに綴った言葉。「木村君っていうのは、いつもSMAPの中で一番初めに何かをやってきた人だから。(略)プライベートから仕事の面まで、先陣をきるタイプの人間だから」。発言の一つ一つから感じるのは、メンバーに対する、好きや嫌いを超えた絶対的な信頼だ。中居さんが最後のラジオで「自分が正しいなんて思っていない」と言いながら「誰も悪くない」と言い切ったのも、だからきっと、本当なのだ。だが、だからこそ見守るファンも、やりきれない思いを今も抱え続けているんじゃないだろうか。

 もしかしたら本書を読んで「私の思いは違う」とか、意見を言いたくなる人は出てくるかもしれない。だがそれでもやはり、本書はSMAPに関する真実のひとつであるように思う。『SMAP×SMAP』で5人が謝罪した生放送のあと、著者が偶然目にした「SMAP 5人が幸せでありますように いつまでも輝く存在でありますように」という絵馬。その願いを改めて胸に抱かずにはいられない一冊だった。

文=立花もも

著者・乗田さんを支えたのはいつだってSMAPの6人だった