アニメ2期にも期待!“ひふみん”もニッコリ。『3月のライオン』13巻で二海堂晴信と宗谷名人の対局が白熱!

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更新日:2017/10/30

『3月のライオン』

 この秋は、『3月のライオン』ファンにとって嬉しい季節となった。まず、テレビアニメ第2シリーズが10月14日からスタートする。放送は、NHK総合テレビで毎週土曜23:00~23:25。オープニングテーマはYUKIの「フラッグを立てろ」、エンディングテーマはBrian the Sunの「カフネ」に決定している。第1期では、作者の羽海野チカさん自身、できあがったアニメを観るだけでなくその制作過程にも触れ、マンガのストーリーも膨らんだという。第2期の展開も非常に楽しみだ。

 そして放送に先駆け、ファン待望の最新コミックス13巻(白泉社)が9月29日に刊行されたばかりだ。通常版と同時に発売された特装版には、羽海野さん描き下ろしのイラストでデザインされたエコバッグが付く。テレビCMと書店用ポスターも制作され、“ひふみん”の愛称で人気を集める加藤一二三九段が登場。エコバッグを肩にかけてニッコリ微笑む様子も公開された。

 もちろん13巻の内容自体も素晴らしい。『3月のライオン』が読者を強く惹きつけ続ける最も大きな理由は、登場人物一人一人が持つ人生をつまびらかに描き切っているところにあるだろう。主人公・桐山零の将棋を巡る成長譚だけでなく、川本三姉妹と父の複雑な関係、次女のひなたが苦しんだいじめの問題、零の“心友”を自称する二海堂晴信の病気のこと、先輩棋士・島田開八段の将棋への思い……。すべてがはっきりとした輪郭を持って物語から立ち上がり、有機的な作品世界を築いている。

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 13巻でも、この“人生の物語”は卓越した魅力を放っている。今回フィーチャーされるのは、二海堂晴信。彼は実際のプロ棋士の間でも極めて人気が高い。小さい頃から重い病気を患っているゆえに、将棋に対する情熱が並大抵ではないのだ。猫を将棋の駒に見立てた“ニャー将棋”の絵本を作ってしまう、とてもかわいらしいキャラクターでもある。ちなみにエリザベスという小型犬を飼っている。13巻では、そんな彼がついに憧れの宗谷冬司名人との対局に臨む。宗谷名人は、圧倒的な強さで棋界の頂点に立つ天才。二海堂はどのような戦いを繰り広げるのか。対局の描写には将棋の魅力も凝縮されていて、ひふみんパワーで最近将棋に興味を持ち始めた方、まったく将棋を知らない方も、きっと存分に楽しめるだろう。同時に、その戦いを見つめる零の姿も、とても愛おしく印象深い。さらに、12巻の夏祭りで出会った川本家の長女・あかりと島田八段、零の担任だった林田高志先生。3人の心にも変化が訪れ、見逃せない。

『3月のライオン』の世界は、これからもずっとずっと大きく広がっていくだろう。その物語をいつまでも見つめていたい。

文=松井美緒

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