“脱衣”によってアイドルの価値が決まる!? 前代未聞の設定で衝撃を呼んだ話題作、2か月連続刊行!

マンガ

更新日:2017/10/23

『アイドルDTI』(冬夏アキハル/白泉社)

「この作品の熱さによって、心も体も丸裸にされました!!」と声優・八代拓氏も絶賛するマンガ『アイドルDTI』(冬夏アキハル/白泉社)。アイドルの価値は“脱衣(DTI)”で決まる、より美しく脱ぐ者こそがアイドル界のトップに立つ――という摩訶不思議な設定が話題を呼んでいる、少年たちのバトルマンガだ。正直、第1話冒頭からステッキを振り回し何十人もの少年たちを丸裸にしていく脱衣能力者の存在と、踊る「男の身体は乙女の栄養!」の文句に面食らってしまったのだが、これはどういうことなんだろうと物語を読み進めるうち、全編通してゆるむことのない脱衣への情熱に気づけばノンストップで1巻を読み終えていた。これは……クセになる!

 DTIは、“脱衣能力者”と“脱衣モデル”の信頼関係があってこそ成立する。脱衣能力者に身をゆだね、いかに美しく衣をはぎ取られるかが脱衣モデルの腕の見せどころ。ところが人気アイドルグループPJ(パーフェクトジュエル)のセンター・灯は、たった一度の脱衣失敗でカリスマ脱衣能力者・宝生に切り捨てられ、解雇されてしまう。脱衣能力が芽生えてしまったことで、脱衣モデルとしては舞台に立てなくなってしまった灯。そんな彼を支えて一緒にグループを脱退したのが、同じく人気メンバーだった尊(ミコト)だった。ゼロからの再スタートとなった二人は、打倒PJをめざして新しい脱衣アイドル像を築くべくパフォーマンスに磨きをかけていく。

 とまあ、あらすじを書いたところで未読の方にはぴんと来ないだろう。この脱衣の魅力、ならぬ魔力は、おそらく読んだ人にしかわからない。チラリズム、なんて言葉があるが、ただ裸体が美しければそれでいいというものではなく、見どころはあくまで、いかに脱ぐか。大事なのは結果ではなく、過程。互いを強く想いあっているがゆえに、傷つけるのが怖くて本音をぶつけられずにいた灯と尊が、揺れ動きながら紡ぎあげていく信頼関係があってこそ、ステージでのパフォーマンスは輝きを増すのだ。さらにかつての仲間たちへの未練や葛藤が、偶像戦争と呼ばれるアイドルの頂点をかけたバトルを白熱させていく。

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 ちなみに本作、アプリゲームとしても配信中。リズムに合わせてキャラクターを高速で脱衣させ、そのタイムを競うことでキャラクターを育成していくという、こちらも前代未聞の構成だ。灯役の声優をつとめるのは冒頭でも紹介した八代氏で、「彼らの着飾っていない心意気が本当に熱いんです!」とその魅力を力説する。灯を「屑石」と切り捨て、いまや同じ能力をもつ師匠、そしてライバルとして彼の前に君臨する宝生役にも期待だ。来月にさっそく2巻が刊行される。

 読めばその熱風に必ず巻き込まれてしまう衝撃的な本作。理性や既存の価値観を脱ぎ捨てて、まずはぜひとも体感してみてほしい。

文=立花もも