「いつも冷淡な人を好きになってしまう」のは、自己防衛が原因? 愛するのが苦手な人たちが陥る心のメカニズム

ライフスタイル

2017/10/13

『心がつながるのが怖い 愛と自己防衛』(イルセ・サン:著、枇谷玲子:訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 恋をするのが下手な人がいる。「いつも冷淡な人を好きになってしまう」「完璧な相手が現れるのを待ちわびている」「恋人がいる相手ばかり好きになってしまう」「相手の欠点にばかり目が向いて長続きしない」…。そんな悩みを抱えた人は、もしかしたら、知らぬ間に、人をちゃんと愛することに自らストップをかけてしまっているのかもしれない。

『心がつながるのが怖い 愛と自己防衛』(イルセ・サン:著、枇谷玲子:訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、人を愛するのが苦手な人たちが知らぬ間に心の壁を作り出してしまうメカニズムを解き明かした書籍。

 私たちは、しばしば自分自身を守るため、「自己防衛の戦略」をとる。もちろん、感情がたかぶっているとき、一時的に周囲と距離を置くことなどは適切だ。しかし、人生を生きるなかで、あらゆる場面で無意識的に自己防衛の行動をとるようになると、問題が生じ始める。他者との距離を必要以上にとったり、自身の内面から目を背け続けたり、想像力を駆使して外界の現実を自分が好きなようにしか認識しなかったり…。現実の人生を見ないようにして生きているようでは、人生の舵取りを誤ってしまう。

 幼少期に頻繁に自己防衛の戦略をとり続けなくてはならなかった人は、成人してからも過度に自己防衛してしまい、自分自身とも他者とも良質な心の交流ができなくなる。たとえば、通学中に膝をすりむき、上級生からもバカにされ、心を痛めている少年がいるとしよう。しかし、その子どもの思いを受け止める人がおらず、母親は「別に泣くほどのことじゃないわよ」と言ったとする。彼は、翌日も問題が解決しないまま学校に行かなくてはならず、上級生たちに対する恐怖心を抑え、泣き出すのをこらえるのにエネルギーを使わねばならない。

 こういう場合には、母親以外の人を頼れば良いのだが、少年自身、それを求めないかもしれない。大人に頼るのは、母親を裏切ることに繋がるし、自分の感情を他の人が受け止めてくれるだろうか、母親のように無下にするのではないかと恐れる場合もある。もし、少年が自分の心と距離を置こうとする場合、彼に共感を持つ人との関わりはふさわしくない。共感は、自分と心の距離を置く彼の本音を明らかにしてしまうからだ。自制心を保つためには、愛情と気遣いを避けなくてはならない。そうして少年は、冷淡で自己中心的な人を頼るようになる。このような行動がとられ続けた場合、この少年は大人になったとき、冷淡な人を常にパートナーに選ぶようになるかもしれない。

 自己防衛の戦略という迷路から抜け出す道は、まず気づくことだ。無意識に自己防衛の戦略をとることがあると知るだけでも、私たちの意識は高まる。この本をもとに、過去を振り返り、今の自分自身と向き合ってみてはいかがだろう。痛みを引き受け、悲しみや渇望を感じることを自分に許せば、もっと自由に人を愛せるようになれるはず。この本は、デンマーク発の「読むセラピー」。今まで思い悩んでいたことの原因が解明され、そこから抜け出す方法が見出せる癒しの一冊だ。

文=アサトーミナミ