知らないと損! 達人が実践するスケジュール管理 7つのコツ

ライフスタイル

2017/10/13

『「超」整理手帳』

 社会の動きが加速するいま、ビジネスにおいてはスケジュール管理がなによりも重要になっている。管理ができる人とできない人では、どこが違うのか。答は案外、シンプルだ。スケジュール管理の達人が、目からウロコが落ちる“7つのコツ”を伝授する。

 野口悠紀雄氏(@yukionoguchi10)は東京大学工学部を卒業後、大蔵省に入省し、米イェール大学で経済博士号を取得。一橋大学や東京大学で教授を歴任し、現在は早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究所センター顧問。ビジネス指南の著作も多くがベストセラーになっており、考案した『「超」整理手帳』はスケジュール管理を飛躍的に向上させることで話題を呼んでいる。野口氏のアドバイスは、時間に追われるばかりの日々を、劇的に変えることだろう。

 仕事で大きな成果を求めるなら、その決め手となるのはスケジュール管理です。言い換えるなら、仕事で思うような成果を得られていない人は、スケジュール管理ができていないのです。ここではスケジュール管理をするためのコツをお伝えしましょう。

【コツ1】スケジュール帳の機能を理解する

 最初にあげるのは、コツというよりも大前提となる考え方ですが、「スケジュール帳の機能を理解する」ことです。それが手帳であれスマートフォンのスケジュールアプリであれスケジュール帳を使わずに仕事をしている人はほとんどいないと思いますが、皆さんはスケジュール帳をどのように使っていますか?

 スケジュール帳には二つの機能があります。一つは、予定を書き込み、決めた予定を正確に実行するための機能。もう一つは、能動的にタイムマネジメントをするための機能です。もちろん、前者は重要ですが、多くの人はそれだけで終わってしまっています。後者の機能に気づいていないからです。スケジュール帳をベースとして、どのように予定を選び、どのように予定を並べていくか。すなわち、能動的なタイムマネジメントこそが仕事の効率化を進め、大きな成果に結びつける方策であることを理解しましょう。

 指示された仕事をこなすだけのために時間を使うのではなく、自分がやるべきことを考え、その実現のために予定を組んでいくのが、能動的なタイムマネジメントです。能動的なタイムマネジメントをしていなければ、それは時間に押し流されていることになります。そうなると、仕事を楽しいと感じることができず、ストレスも溜まります。

【コツ2】仕事の重要度、優先順位を自分自身で考える

 では、どのようにすれば能動的にタイムマネジメントをすることができるのでしょうか。大事なのは「仕事の重要度、優先順位を自分自身で考える」ことです。

 私の場合、最も重要な仕事は本を書くことです。本一冊を完成するには、一定の時間、2ヵ月から3ヵ月程度は、執筆を活動の中心にしなくてはなりません。そのためには、締切りに至るまでの期間に、どのように執筆の時間を獲得するかが鍵となります。いかに無駄を省くかが勝負といってもよいでしょう。具体的に言えば、打ち合わせや雑事など、執筆以外の業務はなるべく同じ日にまとめ、移動時間やすきま時間を減らすように努めています。

 仕事の重要度、優先順位を決めることができれば、自ずとスケジュールの組み方に目安ができます。ただし、なにが重要かという判断は難しいものです。とくに会社に勤めていて、上司から恒常的に多くの指示を受けているようなケースでは、目の前の仕事をこなすことで手一杯ということが多いでしょう。しかし、目の前の仕事をこなすことで手一杯という状況になっている根本的な原因は、スケジュール管理がうまくできていないことです。

【コツ3】プランニング、プログラミング、アクションの区別をする

 そこで大事になるのが、「プランニング、プログラミング、アクションの区別をする」ことです。プランニングとは、一定期間内に達成すべき戦略的目標を設定すること。プログラミングとは、目標を達成するための手段や行動を具体的に計画すること。アクションとは、予定を実行するための一日単位の行動計画のことです。日々の仕事に追われて手一杯になっているのは、アクションばかりで行動しているからです。より重要なのはプログラミングであり、さらに重要なのはプランニングです。

 たとえば、資格の取得、スキルアップといった戦略的目標を立てることがプランニングです。プランニングができれば能動的なタイムマネジメントを志向することができるようになります。プランニングは目標達成までの期間の行動の基本となるものです。スケジュール帳に書き留めなくても忘れないかもしれませんが、書いてあれば、つねに意識していることができるでしょう。そのことにより、プランニングの妨げとなるアクションを避けることになるはずですし、プログラミングも合理的で効率的なものになっていくはずです。

 スケジュール管理においてスケジュール帳と一体となるのが、TO-DOリストです。TO-DOリストとは、処理すべき案件を並べたリストのこと。「プロジェクトの企画・立案をする」「取引先の新任担当者を訪ねる」「礼状を書く」など、やるべきことを一つのリストにまとめることは、案件を忘れないためにも、またスケジュールを組むためにも、有効です。

【コツ4】重要な案件から処理する

 ただし、TO-DOリストを用いてスケジュールを組む際、多くの人が陥りやすい誤りがあります。第1は、リストに書きだすだけで安心してしまって、着手しないこと。第2は、簡単にできることから手をつけていくこと。簡単にできることを次々にこなすと、リストから削除できる案件が増えるために、達成感を得られます。仕事をしていると実感できるかもしれませんが、それは錯覚です。TO-DOリストは重要度でランキングをつけて、「重要な案件から処理する」のが原則。簡単にできることで大きな価値のあるものは、ほとんどありません。

【コツ5】緊急度と重要度は違うということを認識する

 スケジュールについて、もう一つ、多くの人が陥りやすい誤りがあります。それは締切りが近い案件から片付けていくことです。もちろん、緊急度の高いものから片付けていくことは重要ですが、それに追われていると、本当に重要なことが先延ばしされていきます。「緊急度と重要度は違うということを認識する」のが大事なのです。

【コツ6】中期的に一覧できるスケジュール帳を使う

 締切りに追われてばかりでは、本当に重要な案件に時間を使うことができなくなります。また、締切りに間に合わせることが最重要課題となると、締切りに間に合ったことで達成感を得てしまうでしょう。これでは、質の高い仕事を成し遂げるという本当の目的に結びつきません。

 締切りが連続し、「仕事の重要度まで考えている時間がない」と反論する人もいると思います。しかし、それはしっかりとスケジュール管理をしたうえでのことでしょうか。たとえば、締切りが迫った時点で、別の日にずらすこともできる面談や会議などの予定を入れてはいませんか? そうなっているのであれば、それはスケジュール管理の失敗です。

 私自身の経験からいっても、締切り直前に雑務を入れる失敗は、多くの場合、1週間単位で見開きとなっている旧来型のスケジュール帳を使っていることに起因します。次の週に締切りが迫っているのに、ページをめくらなければそのことに気づかないため、うっかり予定を入れてしまう。こんなことをしていては、締切り直前になって慌てるのも無理はありません。

 そうしたミスを未然に防ぐことを目的として、私が考案したのが『「超」整理手帳』です。最大の特長は、蛇腹構造になっていて、8週間分のスケジュールが一覧できることです。重要案件の予定や締切りが中期的に一目瞭然なので、スケジューリングのミスを防ぐことができます。上手なスケジュール管理、能動的なタイムマネジメントを実現するためには、「中期的に一覧できるスケジュール帳を使う」ことが重要なのです。

【コツ7】すきま時間を有効活用するためには入念な準備が必要

 最後に、すきま時間の活用について触れておきましょう。すきま時間の活用については、多くの人がその有効性を指摘しています。私も異論はありません。ただし、すきま時間をいくら活用したところで、それによってできる仕事には限度があります。トルストイは「戦争と平和」をすきま時間で書いたわけではありません。そのために他の用事や仕事を排して、時間を確保して執筆したのです。

 私は、すきま時間を活用する必要性を否定しているのではありません。どうしてもすきま時間ができてしまうことは避けられないでしょう。ただし、それを有効活用するためには、「準備をする」ことが必要です。たとえば、スケジュール上、1時間のすきま時間ができることがわかっているなら、そこで行う仕事をするための資料を前日までに用意しておきます。大事なのは入念な準備です。資料を集めてまとめ、その過程で構想を練ります。すきま時間活用のための準備をすることによって、1時間は価値あるものになるのです。こうしたことを実践すれば、たとえば、1時間のすきま時間で、説得力のある企画書を仕上げることも可能でしょう。

著者プロフィール
野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2017年9月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。著書に『1940年体制』(東洋経済新報社)、『情報の経済理論』(東洋経済新報社、日経経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)、『「超」整理法』(中公新書)、近著に『異次元緩和の終焉』『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞出版社)、『仮想通貨革命で働き方が変わる』(ダイヤモンド社)、『世界史を創ったビジネスモデル』(新潮選書)、『日本経済入門』(講談社現代新書)など多数。
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