国語ってどう教えたらいいの?「国語嫌い」な子どもを「国語好き」にさせる一言は…

出産・子育て

公開日:2017/10/24

『音読から読解問題、作文・読書感想文まで、効果抜群のアドバイス集 国語って、子どもにどう教えたらいいの?』(福嶋隆史/大和出版)

 社会や理科は用語を覚え、理屈を理解して説明できれば高得点が狙える。英語や数学は基本的な知識をインプットして、見た目・数字だけを変えた問題に対応できるよう、繰り返しアウトプットすればテストや入試もバッチリだ。

 どの教科も確実な積み重ねで少しずつ点数が上がるし、勉強しなければ目も当てられない点数を取る。しかし、国語はそれらと比べて異質だ。国語の問題は基本的に文章の中に答えが書かれていることがほとんど。つまり、5教科の中で唯一、勉強をしなくても高得点が取れる可能性があるのだ。

 こんなこともあって、受験生を抱える親御さんは「どうやって国語を教えていいかわからない」という方も多い。さらに、他教科に比べてどうしても成果が見えにくいため、5教科指導を謳いながら、ほとんど国語を授業で触れないという学習塾まで存在する。

advertisement

 親だけでなく塾講師、あるいは学校の先生までも「効果的な教え方がわからない」と嘆く国語。そんな国語の指導方法のヒントとなるのが『音読から読解問題、作文・読書感想文まで、効果抜群のアドバイス集 国語って、子どもにどう教えたらいいの?』(福嶋隆史/大和出版)だ。著者は国語指導のプロフェッショナルで「ふくしま国語塾」主宰・福嶋隆史氏。本書は実際に生徒の保護者から、国語に関する悩みをリスニングし、それらに一つずつ、ヒントとなる子どもへかける一言と解説を添えてくれている。

 以下に保護者の悩みと福嶋先生の答えの一部を紹介しよう。

■何度もつまずいたり、おかしなところで切って読んだり、勝手に別の言葉に読み替えたり、うちの子は、まともに音読ができません。

 私は10年ほど塾講師として、小中学生に国語を指導した経験がある。その時の感覚として、国語が苦手な生徒は「きちんと文章が読めていない」。読んだ直後に内容を聞いてみても、要領を得ない。

 聞いてみると、ざっと流し読みをして“読んだ気”になっているとのこと。音読をさせてみると、「何度もつまずく」「別の言葉に読み替える」といったことが起こる。つまり、きちんと音読ができないと、きちんと文章を読めないことにつながり、国語の問題が解けず、苦手になるという構図だ。

 それでは福嶋先生は、子どもがきちんと音読できるようにするために、どのような声かけをするのだろうか。

今から少しずつ区切って読んであげるから、まねして読んでごらん

 このように声をかけるそうだ。例えば小学校低学年であれば、下記のような文章をスラスラ読むことは難しい。

「そのろうそくはいつからかはしらないが消えてしまっていた」

 この文章を一目見て、大人であれば、問題なく区切って読むことができる。しかし、子どもはわからない。「読むのが苦手」という生徒であれば尚更だ。

 福嶋先生曰く「目で読むのが苦手な子でも、耳から入った言葉をリピートするのは簡単にできる」そう。まずはこちらでお手本を示し、それをマネさせる。英語では当たり前のように行われている「リピートアフターミー」を実践すればよいのだ。

■うちの子は日記でも作文でも題材を見つけるのが苦手。「自由に書けばいいんだよ」と言っても何を書いていいかわからないみたい…。

 この悩みもよく聞くお話。作文が苦手という子どもはまず何を書いていいかわからないことが多い。

 そんな悩みに対して福嶋先生はどのような声かけをするのか。

短~い時間に起こったできごとについてだけ、書いてみてごらん

 このように声をかけるそうだが、その心やいかに。「自由に書きなさい」と言われるほど、子どもは自由に書けなくなるそう。確かに普段から、バリバリ働く忙しい社会人に「明日から一週間休みをあげるから自由にしてもいいよ」と言われても困ってしまうだろう。それと同じなのかもしれない。

 そのため、子どもには“枠組み”を与えてあげるのがよいという。その一つが「時間」を限定するということ。一日の流れをダラダラと書く作文・日記よりも、一つの出来事に縛ってしまった方が、子どもは書きやすい。さらに、詳しく書かなければ文字数は埋められないので、イキイキとした作文になりやすいのだ。

 他にも「時間」だけでなく、手触りやにおい、音といった「五感」に限定することも作文の独創性を生むのに一役買ってくれるそう。

 他にも、入試のメインの問題となる物語文・説明文の読解のコツ、「なぜ読書をした方がいいの」という質問について語られている本書。保護者・先生だけでなく、国語が苦手な社会人も読んでみると「そうだったのか!」という発見が間違いなく得られるはずだ。

文=冴島友貴