小池百合子都知事の永田町での「本当の評価」は……。現役秘書が語る国会議員の「本当の顔」

社会

2017/10/21

『国会女子の忖度日記』(神澤志万/徳間書店)

 残業・休日出勤は当たり前。しかも無給。朝と夜で指示が変わる上司、セクハラやパワハラは日常茶飯事。先輩からは犯罪ギリギリの悪質なイジメをされ、時代錯誤な男尊女卑がまかり通る。「安定」もなければ、「高収入」というわけでもない。……そんな、福利厚生もへったくれもない、めちゃくちゃブラックな職業は何だと思いますか? 飲食店ではありません。国会議員のサポートをする「秘書」なのです。

『国会女子の忖度日記』(神澤志万/徳間書店)は、20年以上のキャリアを持つ、国会議員の現役秘書が、日々の仕事内容を中心に「永田町の悲喜こもごも」を赤裸々に描いた一冊である。

 本書を読む前、私は「どうせ政治家の実名は出さないんでしょ?」と思っていた。「全部ぶっちゃけます!」みたいな宣伝文句をしといて、結局肝心なことは書かず「ツリかよ……!」とモヤモヤする雑誌とか、テレビ番組はよくある。

 そういった「不完全燃焼本」なのかと思いきや、本書、実名がバンバン出る。今も現役で秘書をしているのに「そんなに内部事情を書いてもいいの?」と読んでいる方が不安になるほどだった。

 議員秘書は、とにかくブラックらしい。

 世間では「女性の社会進出」が叫ばれているというのに、永田町は今も旧態依然とした男尊女卑。「女のくせに!」と怒鳴られることも100回はあったとか。また、女性を「お茶汲み」「清掃員」「事務員」程度にしか考えていない議員や同じ事務所の男性スタッフも多く、そういった傾向は特に自民党に強いそう。

「このハゲーーーーー!!」発言で話題となった豊田議員の一件も、あの暴言の音声を聞いて、著者の神澤志万さんは「なんか、なつかしい」と思ってしまうという。暴力をふるうことは別として、理不尽に怒鳴る議員は、他にも大勢いるそうだ。あの事件の場合、告発した秘書の「仕事のミス」も言語道断で、「豊田議員でなくてもキレる」というのが、永田町住人の意見らしい。

 また、選挙期間中は、普段の激務がさらにバージョンアップし、ボス(議員)からの「とにかく票を集めろ」という圧力から、ストレスや疲労で血を吐き、入院してそのまま亡くなってしまった秘書がいる……なんていう怖い話も。

 議員秘書のヤバすぎる仕事内容の他に、議員たちへの神澤さんの「見解」も書かれている。

 例えば、小池百合子都知事について。永田町では、小池さんの人間性について「評価がいまひとつな感じ」。一か所に腰を落ち着けておらず、様々な党を渡り歩く「変遷の人」というイメージが原因なのではないかと。一方で、「女性のくせに」を言われ続け、鬱憤が溜まっている永田町女子たちの中には、初の女性都知事に感動した人も多かっただろうとも書かれていた。

 その他、タクシー運転手が選ぶ「乗せたくない議員1位」や、ここ数年で話題になった議員の、現場にいるからこそ分かる「素顔」が率直に書かれている。

 本書を執筆した目的の一つは、本書がきっかけとなり、少しでも多くの人に政治に興味を持ってもらいたい。「政治に関心がないから、投票に行かない」ではなく、ダメな政治を変えるためにも、ぜひ一票投じてほしい。そういった想いが込められているそうだ。

 そのためか、本書は誹謗中傷の激しい下品な暴露本ではなく、売れるためのネタっぽい話でもなく、あくまで事実を述べた上で、神澤さんの冷静な視点を加え、シビアなことも時にユーモラスに知的に書かれている点が、好感が持て、読後の満足感につながった。

 衆議院選挙も間近である。政治に興味を持てないなら、まずは超ブラックな議員秘書の仕事を知ってみてはいかがだろうか? 永田町を身近に感じられるかもしれない。

文=雨野裾