育毛剤をムダにしていませんか? 「起床後、床で30秒間正座」で毛細血管が復活!? 自宅でできる育毛法

健康

更新日:2017/11/9

『最後に読む育毛の本』(久田篤、佐野正弥/みらいパブリッシング)

 秋は髪の毛が抜ける時期。たださえ薄毛を気にしていたのに、枕や風呂場に落ちる抜け毛を見て「いよいよヤバいかも……」と危機感を覚え始めた方もいるのではないか。筆者も生え際に若干の不安を覚え始め、そろそろ髪の毛に本気を出す時期が来たと実感している。そこで『最後に読む育毛の本』(久田篤、佐野正弥/みらいパブリッシング)より、これから薄毛対策を始める人が知っておきたい「自宅発毛サーキットプログラム」をご紹介したい。

■ゼロがある限り発毛はゼロ

 なぜ私たちの大切な髪の毛は無残にも頭から抜け落ちてしまうのだろうか。日本発毛協会認定の発毛診断士である久田篤氏と佐野正弥氏によると、そもそも髪の毛は植物と同じで、毛細血管によって運ばれてくる栄養を毛根が吸い上げて髪を生やしているのだ。

 全身に張り巡らされている血管は、生命活動を維持する上で重要な部分ほど、より太く、より細かく張り巡らされている。では、髪の毛は生命活動を維持する上で重要かどうかと言われると、残念ながら重要度は低い。そのため、前頭部や頭頂部の毛細血管は細くて数も少ない。荒廃した生活習慣は、ただでさえ細くて数の少ない大切な毛細血管を消滅させてしまう。その結果、栄養の行き届かなくなった毛根は、水を与えてもらえない植物のように、抜け落ちてしまう。

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「だから育毛剤を活用している」とおっしゃる方もいるだろうが、どんなに良い育毛剤を使っても、血管を失った毛根には意味がない。「100×100×0=0」であるように、どれだけ良い数字を掛け合わせてもゼロがある限り、答えはゼロだ。

■脱毛因子「DHT」

 髪の毛根には「5α-リダクターゼ」と呼ばれる酵素が存在する。血流にのって流れてきた男性ホルモン「テストステロン」は、この酵素の作用によって「ジヒドロテストステロン」に変化してしまう。これが薄毛の元凶「DHT(ジヒドロテストステロン)」と呼ばれる脱毛因子だ。

 DHTは、性器形成という大きな役割を担っている。しかし成人になって性器が完成すると行き場をなくして、髪を作り出す毛母細胞の働きを弱めてしまう。

 最近は薄毛の医薬品も登場し、このDHTを抑制できるようになった。しかし「毛母細胞を弱める働き」を弱めても、発毛に直接結びつくわけではない。発毛効果のある医薬品も登場しているが、高価なものが多く、医薬品の服用を止めた途端に再び抜け始める「リバウンド」が起こることもある。

 髪の毛は一度少なくなると、それを元に戻すのは大変だ。だからこそ抜け始めの時期に、前頭部や頭頂部の毛細血管を取り戻す「体質改善」をしていくことが最大の抜け毛対策となる。

■自宅発毛サーキットプログラム

 髪の毛が再び生える体質にするには、毛細血管の復活が大前提。そこで大切なのが食事だ。そして身体にたまった毒素を追い出して免疫力をつけること。本書によると、下記のプログラムをまずは1週間続けてほしいそうだ。

○起床後、床で30秒間正座する
○朝食を抜く
○通勤時はエスカレーターやエレベータを使用せず階段を上る
○昼食と夕食にたんぱく質をしっかり摂る
○1日に1.5L~2Lの水を飲む

 なぜ朝食を抜くのかというと、普段から食べ過ぎの人(肥満気味の人)や便秘の人は腐敗便を腸にためこんでいる可能性がある。腐敗便は毒素を生みだし、体に悪影響を及ぼす。そこで1週間小食にして、体の毒素の排泄を行うのだ。可能ならば1ヶ月ほど行ってほしい。どうしてもお腹が減った場合はバナナやゆで卵なら食べてもOK。ただし理想的な体重や痩せ気味の人は行う必要はないそうだ。

 たんぱく質は髪の毛をはじめ、身体の生成で重要な栄養源となる。たんぱく質が不足すると、髪の毛がハリを失い、皮ふが乾燥して頭皮も硬くなる。こうならないためにも、体重50kgの場合、たんぱく質を1日50gから60gほど摂取してほしいそうだ。体重10kgあたり10g少々が目安となる。

 また、身体にたまった毒素を抜くためには水分の摂取も必要だ。午前中に650ml飲むことを意識しつつ、1日に1.5L~2Lの水を飲んでほしいそうだ。

 さらに、血流の改善も薄毛対策の1つだ。特に「ふくらはぎ」は「第二の心臓」とも呼ばれており、全身に血液を送り出すポンプの働きを担っている。そのため起床時には床で30秒間正座し、通勤時にはふくらはぎを躍動させる。鍛えれば鍛えるほど血流は良くなるので、髪のためにも足を鍛えてほしい。

 これらを1週間から1ヶ月ほど続けた後、上記5つのうち、「朝食を抜く」を除いた4つをさらに継続してほしいそうだ。また、喫煙は厳禁。本書では「喫煙を続ける時点で薄毛対策は諦めてほしい」とまで断言している。さらに、お菓子やジュース類も断つこと。要は理想的な生活習慣が薄毛対策につながるのだ。

 生活習慣が荒廃している人ほど、このプログラムの効果を実感するのには時間がかかる。しかし早い人は1週間程度で抜け毛が減り始めるそう。根気強く自身の体質改善に向き合ってほしい。こうした体質改善に加え、育毛サプリメントや育毛シャンプーを活用すると、より発毛を実感できるそうだ。

 身体をなめまわすような男性の目線に女性が不快感を覚えるように、薄毛に悩む人も他人の頭部への目線が非常に気になってしまう。しかしその悩みは他人に相談し辛いもので、1人でこっそり育毛剤や育毛シャンプーを購入して四苦八苦することが多い。本書や本記事でその人々の悩みが少しでも救われることを、日本人の髪の毛が少しでも増えることを願う。

文=いのうえゆきひろ