「継続は力なり」「強く願えば叶う」も全部ウソ!? 知りたくなかった世の中のあらゆる「法則」を最新科学で徹底検証!!

ビジネス

2017/11/10

『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』(エリック・バーカー:著、橘玲:監訳、竹中てる実:訳/飛鳥新社)

 世の中には、ありとあらゆる「成功の法則」が唱えられている。しかしそれらの多くは個人的な経験談か、歴史や宗教などを根拠にして言葉巧みにまとめられた説得力のある成功談に過ぎない。それらが間違っているかどうかは分からないが、一つ確かなのは、そういった「法則」には「証拠(エビデンス)がない」ことである。

『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』(エリック・バーカー:著、橘玲:監訳、竹中てる実:訳/飛鳥新社)は、膨大な研究論文や参考資料をもとに、巷にあふれる「法則」の「証拠」を提示し「正しい成功法則」を示す、今までにないビジネス(自己啓発)書である。

「強く願えば夢はかなう」も科学的には根拠がないという。むしろ「ヒトの脳はフィクションと現実を見分けることが不得意で、夢の実現を強く願うと、脳はすでに望みのものを手に入れたと勘違いして、努力するかわりにリラックスしてしまう」とか。「成功」のためにはやはり「科学的な証拠」が必要なのである。

 話は変わるが、一度くらい「転職すべき?」と頭をよぎったことはないだろうか。仕事だけではなく、習い事や恋人との関係も、「終わらせた方がいいのか」「でも、続けていれば改善するかも?」「すぐに諦めてしまったら、よくないのではないか」という葛藤を抱き、「もっと早くやめていれば、時間を無駄にしなかったのに」と後悔することもある。

 果たして「成功サイエンス」的には「続ける(やり抜く)」ことが重要なのか、それとも「諦める」ことが大切なのか。

 本書ではまず、双方のメリットとデメリットを述べている(本書の特徴として、どのトピックも必ず同じように検証している)。

 結論として「継続」と「諦め」双方のメリットを最大限に生かすためには「自分がやり遂げるべき目標がまだわからなければ、答えを見つけるために、たくさんのことを試してみる」「何か興味の焦点が見つかったら、学び続ける」。さらに継続をしつつも、トライ&エラーを繰り返し、成長し続けるため「自分の時間の5~10%」を小さな試みに当てるといいそうだ。

「その諦めと継続の決断ができないんだよ!」と思った方、安心してもらいたい。本書ではそれを見極めるためのシステムにも触れられている。「WOOP(ウープ)」という「仕事や人間関係、運動、減量など、ありとあらゆる目標に適用できる法則」だ。

 自分の『願望』をイメージする→その願いに関して自分が望む『成果』を具体的に思い描く→目標達成への具体的な『障害』について考える→障害に対処する『計画』を考える……というのが「WOOP」のやり方。

 この法則を活用するメリットは、「夢を達成するための活力になる」以外に「最後までやり遂げるか、見切りをつけるかを判断するうえで決め手となる」ことも挙げられる。「WOOP」は努力すれば目標が達成できる場合には、そのやる気を後押しする作用があるが、目標の実現可能性が低い場合には効果がないらしい。あなたがかなえたい夢を「WOOP」に当てはめた時「うまく想像ができない」「考えたものの、やる気が出ない」場合は、夢が妥当ではない(実現の可能性が低い)ということになる。

 例として「継続or諦め」を挙げたが、本書では「それが知りたかった!」の科学的な「答え」がたくさん詰まっていた。「成功には『エリートコース』が必要か」「『いい人』は結局損をするのか」「自信を持つことは大切か」などなど、言わば「答えは一つじゃないよね」という悩みどころを、科学的なアプローチからメリット(と、デメリット)を述べ、そして「じゃあ、どうすることが一番『成功』に近いのか」の具体的な方法を教えてくれている。

 最後になったが、本書における「成功」の意味は幅広い。文脈によってお金や仕事、恋愛などを指しているが、要は「幸福な人生を送ること」を「成功」と言っているようだ。

 書店で手に取っていただいたら分かるが、本書は結構分厚い。だが難しい学術書ではなく、エンターテインメントとして書いている一面もあるそうなので、想像よりも読みやすいと感じるはずだ。気おくれせず、ぜひ読んでもらいたい。

文=雨野裾