『コウノドリ』のモデルになった産科医が教える、妊娠・出産で本当に覚えておくべきリスクとその対処法

出産・子育て

公開日:2017/11/10

『妊娠出産ホンマの話 嫁ハンの体とダンナの心得(講談社+α文庫)』(荻田和秀/講談社)

 第二期も大好評のドラマ『コウノドリ』。綾野剛演じる、ジャズピアニストの顔をもつ産科医・鴻鳥(こうのとり)サクラを中心とした医療ドラマだが、モデルとなった医師がいるのをご存じだろうか。かつてジャズピアニストをめざしたこともあり、現在は大阪府で広域母子医療センター長をつとめる荻田和秀氏だ。周産期医療の現場に立ち続けている萩田氏が、妊婦だけでなくその夫にも知ってほしいと本音で語っているのが『妊娠出産ホンマの話 嫁ハンの体とダンナの心得(講談社+α文庫)』(荻田和秀/講談社)だ。

 著者いわく、妻は神経質になるあまり根拠ナシの都市伝説やトンデモ情報を耳に入れてしまいがちだし、逆にダンナのほうが聞きかじったトンデモ情報に縛られて、妻を苦しめるケースもある。100万人のお母さんから100万人の赤ちゃんが生まれるのだから、100万通りのお産があってそれでいい。大事なのは「良い頃合いと良い距離感」だというスタンスで、本書では本当に覚えておくべきことだけを教えてくれる。

 たとえば、ジャンクフードを食べるよりも、夫にあわせて遅い時間に夕飯とるほうがよっぽど母子ともによくないですよ、などというアドバイスは、根本的なことだけど、意外と言われていないことのような気がする。

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 ほかにも、マンガ(ドラマ)でも描かれていたとおり、妊娠中は安定期といわれる時期だろうと、不要不急の長旅は避けるべし(海外は推奨しない)、煙草は妊娠を機にやめたほうがいい、とか。ロハスでオーガニックな自然派志向の妊婦さんも多いけれど、基本的に、あれダメこれダメといわれている情報に根拠はないし、そのへんに流通しているものは妊娠中ずっと食べていても胎児に影響はない、とか。もちろんカフェインや酒の摂取は避けなくてはいけないけれど、薬やサプリメントだって、降圧剤などを除けばわりと飲んでも大丈夫なものは多い。危険なのは、不安がって勝手によいといわれているものを海外輸入したり、市販の薬を医師の確認なしで服用したりすること。要するに、自己判断ほど無根拠でアブないものはない。誰が言いだしたかわからないネットの情報に踊らされるよりも、100万分の1の経験則であれやこれや言ってくる親世代よりも、かかりつけの医師と相談して、妊婦である妻の体調や赤ちゃんの具合にあわせて決めていくほうがよっぽど重要なのだ。

 また著者は、妊娠・出産がイベント化しすぎている昨今の傾向や、イクメン礼賛にも疑問を呈している。もちろん一大ライフイベントであることは否定しないし、夫が無関心でいていいわけではない。けれど理想を追求するあまり、現実が置き去りになっては意味がない。大事なのは、赤ちゃんが無事に生まれてくること、そして妻が孤独に潰されないこと、夫は妻と一緒に「親」になっていくこと。リスクを正しく認識し、適切な対応を夫婦ともにとるために、ネットの情報に踊らされる前にまずは本書を一読してみてほしい。

文=立花もも

この記事で紹介した書籍ほか

妊娠出産ホンマの話 嫁ハンの体とダンナの心得 (講談社+α文庫)

著:
出版社:
講談社
発売日:
ISBN:
9784062817349