あなたの話し下手はなぜ直らないのか? 究極の「チョイ足し」テクニックで脱コミュ障

ライフスタイル

2017/11/16

『たった一言で人を動かす 最高の話し方』(矢野香/KADOKAWA)

 私はチョー話下手なフリーライターです。この仕事なら書くだけで済むかと思ったのですが、そうはいきませんでした。取材や打ち合わせでは自分の意見を言わなければならない場面もあるし、雑談をして場を和ませなければいけない場面もある。元々無口で滑舌も悪いので、場の空気を台無しにする天才として名を馳せていました(涙)。

 一応、問題意識はあるのでさまざまな話し方の本を読み、話し方教室にも取材がてら通ってみました。でも、さっぱりうまくならない。教えられたとおりにやってみても、どうもうまくいかない。
 そんな私のような「話し方難民」になっている方、意外と多いのではないでしょうか。

 そういう星のもとに生まれたのかと諦めていましたが、私に足りないのは何なのか、『たった一言で人を動かす 最高の話し方』(矢野香/KADOKAWA)を読んで気付きました。
 この本は、「たった一言」といっても、よくある「こんな言葉をかければ人を動かせる」という一言集ではありません。どんな一言でもちょっとした工夫で相手を動かすことができるようになる、究極のメソッドなのです。

 著者はNHKキャスターとして17年間も正統的な話し方を実践しています。NHKを離れてからは政治家や経営者、エグゼクティブから学生やビジネスパーソンにまで、「信頼を勝ち取る正統派スピーチ」を伝授されている、話し方のプロ中のプロです。
 著者のもとに相談に訪れるのは、「いろいろな話し方を試してみたけれど、どうもうまくいかない」という人が多いのだとか。そんな人達のためにたどり着いたメソッドが、意外にも「間」の活用だったのです。

 おそらく、誰もが「間」は大事だと分かっているでしょう。けれども、実際にどんな場面でどのように使えばいいのかは分かりませんよね。
 本書は「間」を分類して、具体的にどのように使えばいいのかを紹介しています。それを読むと、「間」はただ何となく無言になるだけではダメ、戦略的に使えば想像以上の効果を発揮するのだと分かります。

 そして、著者の考えた「間」のメソッドが優れているのは、どんな話し方のスキルにでも組み合わせられるというところ。つまり、今まで身につけた話し方のスキルに「間」をチョイ足しすればいいだけなのです。

 たとえば、今や話し方の基本になっている、「結論から話す」というスキル。
 私も使っていますが、結論から先に話しても、途中で相手から「詳しい内容は企画書を送ってください」と遮られたことがあります。話し終えた後で、「それで、要するにこういうことですか?」と結論を確認されることも……。これは話が相手に伝わってないということですね。
 これも、「間」を使えば解決できるのです。

「今回は洗濯機の機能を使い分けるという企画でご協力していただきたいと考えてるんですが、伺いたいポイントは3つありまして、1つ目はドライコースはどのような衣服に使えばいいのかという点を伺いたいと思いまして、2つ目はソフトコースはどのような衣服を洗濯するのに向いているのか、3つ目は……」

 これ、実際にここで話を遮られました(笑)。電話で取材を申し込んでいたのですが、多忙な相手にこんな話し方をしたら、そりゃあ「詳しい話はメールで送ってください」ってなりますよね。
 本書の「間」をチョイ足しするとどうなるでしょうか。

「今回は洗濯機の機能を使い分けるという企画でご協力していただきたいのです(3秒の「間」)。伺いたいポイントは3つあります(3秒の「間」)。1つ目はドライコースの使い方について(1秒の「間」)。2つ目はソフトコースの使い方について(1秒の「間」)。3つ目はスピーディーコースです」

 あら、スッキリ。これなら先方にも話の内容がしっかりと伝わるのが分かります。「間」を使おうとすると、より文章がそぎ落とされるという効果もあるようです。

 この2つを声に出して読んでみると、より違いが実感できるでしょう。スマホのアプリで録音して聞き比べてみると、まったく受け取る印象が違うのが分かると思います。「間」をチョイ足しするだけで、自信を持って伝えている印象になるので、人を動かせるようになるということなのです。
 本書は、今まで何冊もの話し方本を読んでも効果が出なかった人こそ、実践していただきたいと思います。今まで学んだスキルをムダにすることなく、最高の話し方をできるようになるはずです。
 私自身も、見違えるようにうまくなったとは言えませんが、かなりマシになりました!

文=大畠利恵