“視える”少年は、誰にも愛されることがなかった。果たしてそれは本当に―?

ライトノベル

2012/2/12

百鬼夜行の少年 - 鏡ヶ原遺聞 壱ノ巻

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 中央公論新社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:天堂里砂 価格:648円

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生まれつき、妖怪や幽霊が視えてしまう秀一は、周囲に「気味悪い」「嘘吐き」と否定されながら育った。高校生になったある日、唯一の家族である父を亡くして、肉親である叔父に引き取られる。そこは “妖怪ヶ原”と呼ばれるド田舎だった。

ひょんなことから独特の甚平を着る神宮寺という住職の下で住み込みのアルバイトをすることになるのだが、実はこの神宮寺、視える男だった。しかも、お寺はバイタリティあふれる妖怪だらけ! そんな中、秀一は《姫君の魔鏡》という、過去をのぞける神具を手に入れる――。

屈強な容姿を持つオカマの垢舐めミヤビ、小さな男の子のコダマ、血気盛んな井守(イモリ)に河童のジロキチなど、可愛くて可笑しくて、魅力的な妖怪たちが出てくるこの話。思わず、私も妖怪が見たい! と思ってしまうことウケアイです。特に、クールに喋る真っ黒ボディの猫又なんて、動物好きにはたまらないはず! 視えることで悩む秀一には悪いけれど、彼らがいるのならば、私も、ぜひとも妖怪を視てみたいです! 元から私が妖怪好きというのもあるんですけどね(笑)

人間に否定され続けて来た秀一が、お寺に来てからは誰にも否定されず、視えることを隠さなくても良い環境に立ちます。周りにいるのは気さくな妖怪たちと、常に人をからかう神宮寺だけ。

徐々に心を開いていく秀一の前に現れたのは、池の底に咲く《紅い花》を探す少女の幽霊・さよ子。「嘘を吐かないで」と言った姉に信じてほしくて成仏できないさよ子を、秀一は幼い頃の自分と重ねます。

「もし、あの時、僕を信じてくれる人がいたのなら」「あの時、父だけでも信じてくれたなら」
さよ子を救うことで自分も救われるかもしれないと、“紅い花”を探すと約束する秀一。誰かに助けられたいという他力本願ではなく、あくまで自分の力で自分を救いたいと思う秀一は、本当に素敵な男の子です。

秀一のネックは「誰にも愛されなかった自分」です。しかし叔父や神宮寺の話を聞いていくうちに、とある疑問が自分の中に浮かびます。「果たして本当に、父は僕に無関心だったのか」

過去を視れる《姫君の魔鏡》。父の過去を視れば何か分かるかもしれない、けれどそれは秀一が思い出したくない悪夢のような過去でもあるのです。それと同時に、神宮寺が話してくれなかったさまざまな事実が発覚します。はたして秀一は、どのようにして壁を乗り越えるのでしょうか。


水溜りで“紅い花”を探す、無邪気なさよ子

「気味の悪い子」。子供にとって一番辛い、母親の言葉。幼い秀一の心の傷に

挿絵はクリックすると拡大できます。ミヤビさんの屈強さに注目(笑)

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