あなたの読書生活を豊かにしてくれること間違いなし!“本のプロ”による偏愛ブックレビュー

文芸・カルチャー

公開日:2017/11/18

『偏愛読書トライアングル』(瀧井朝世/新潮社)

 次に読む本を選ぶ時間は、本を読んでいる時間と同じくらいに楽しい。本の選び方は、実に十人十色だと思う。趣味嗜好の合う知人が薦める本を主に読む人もいれば、書店で表紙が目に留まった本を「ジャケ買い」する人もいるという。また、当サイト「ダ・ヴィンチニュース」のブックレビューを読んで注目の新刊をチェックして下さっている方もいる。自分が書いた記事を読んでくれた知人が、「あの本、面白そうだったから買ってみたよ」なんて言ってくれるときは、本当にうれしい。

■“本のプロ”の偏愛ブックガイド

 本探しの参考として、また、読書の幅を広げるために、本を紹介する達人の意見を聞いてみるのも有効な手だ。さらにそのプロが万人受けを求めず、自身の「偏愛」に基づいて全力で一冊の本を紹介してくれる瞬間は、実に濃厚で楽しく、勉強になる。

 書評家の瀧井朝世さんをご存じだろうか。瀧井さんは文春オンライン、『週刊新潮』『an・an』『CREA』などで作家インタビュー、書評、対談企画などを担当している。2009年~2013年にTBS系『王様のブランチ』ブックコーナーに出演し、現在は同コーナーのブレーンを務める、まさに“本のプロ”だ。番組で彼女が紹介した本を実際に本屋で購入したことのある人も少なくないだろう。作家からの信頼も篤く、書評、インタビューに引っ張りだこ。

advertisement

 そんな瀧井さんの「偏愛」が詰まったブックガイド『偏愛読書トライアングル』(瀧井朝世/新潮社)をご紹介したい。ブックレビューのブックレビューとは、何だか少しおかしな感じがするのも否めないが、これもまた私の「偏愛」によるオススメということでご愛嬌を。

■著者の愛が詰まった鋭利な書評

 本書は新潮社の『波』に連載されている「サイン、コサイン、偏愛レビュー」の中から56回分を抜粋したもの。紹介される作品数は160を超える。

 この本は、決してオススメ本を挙げたブックガイドではありません。万人にオススメできるなんて保証はできないけれどもとにかく私は好き、と思う作品について、思いのままに書いた連載をまとめたものです。(まえがきより)

 著者の言葉通り、どの書評も瀧井さんの独自の鋭い視点が光っており、そして何よりも、その本に対する彼女のただならぬ愛が詰まっている。

■ブックガイドとしての使い勝手の良さ

 本書を読んでみてもう1点、私が強く感じたことは“ブックガイドとしての使い勝手の良さ”だ。新刊1冊を挙げ、そこから著者が連想した好きな作品2冊を合わせた3冊レビューが基本形。回ごとにそのメインのテーマがタイトルになっているので、「こんな内容・人物を扱った本を読みたい」と思ったらすぐにそのページにたどり着くことができる。もちろん巻末の索引も装備され、非常に利便性が高い。各回のタイトルの例として、「戦争の中で瓦解する人々」「イタ可愛い女の子たち」「“ナチス”を書くこと」「翻訳という技」「『正しさ』の呪縛」などがあり、そのテーマの中で3冊の本が紹介されている。

 本書は“本のプロ”である著者の偏愛に基づいた鋭いレビューを存分に堪能できるという点と、“読書家たち”のニーズが熟考された使い勝手の良い編集がなされているという点、どちらをとっても非常に優れた1冊だと感じた。これからの読書生活の心強い相棒として、手に取ってみてはいかがだろうか。

文=K(稲)