万引き犯から「もぎ取った腕」を飾る書店……!? Twitterでも話題のマンガ『外れたみんなの頭のネジ』のサイコっぷりが止まらない!

マンガ

更新日:2019/9/10

『外れたみんなの頭のネジ』(洋介犬/泰文堂)

 現在、Twitterなどで「読まなきゃよかった……」と大勢のマンガ好きにトラウマを植え付けている作品、『外れたみんなの頭のネジ』(洋介犬/泰文堂)。本作は連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」にて絶賛連載中であり、話数を重ねるごとにそのホラー度が増している。

 そもそも、作者である洋介犬さんは、自身のブログ「イヌギキ」にて、ホラーテイストのショートショートを発表していたマンガ家だ。いずれの作品も1、2ページと非常に短いものの、その破壊力は抜群。独特の視点で日常の中にホラーを見出す展開が、読者を恐怖のどん底に突き落とすとあって話題を集めていた。

 そんな洋介犬さんが本作で追求しているのは、サイコホラー。幽霊や妖怪が登場するのではなく、徹底的に「狂ってしまった人間の怖さ」を描いているのだ。

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 物語の主人公となるのは、女子中学生・ミサキ。あるとき、「街全体が狂ってしまったこと」に気がついた彼女は、目の前に現れた悪魔〈べへりん〉とともに、「狂気の正体」について迫ろうとしていく。その謎のカギとなるのが、封印されていたミサキの記憶と、ミサキの姉・ミナトの死の真相。ミサキは日々狂気に巻き込まれながらも、少しずつ真実に辿り着こうとするのだが……。

 11月13日(月)には、待望の第4巻が発売された。そして、この最新巻に収録されているエピソードが、どれも秀逸。第1巻から読んでいる者としては、そのサイコ度の高まりに、洋介犬さんの熱の入れようを感じて興奮を覚えてしまった。

 中でも恐ろしかったのは、万引き犯からもぎ取った腕を飾っている書店の話「その手を憐れむ歌」、“クラス全員で漂流した際にどの子から殺して食糧にするか”を考える悪趣味なゲームが暴くクラスメイトの闇「窮食ゲーム」、そして第1巻に収録されている、決して口にしてはいけない怪談「ビクの生首」の真相が明らかになるエピソード「開封~ビクの生首(前編・後編)」。いずれもこちらの想像を遥かに上回る展開が待ち受けており、読後はしばらく放心状態になってしまうはずだ。

 狂ってしまった街の謎に迫りつつ、毎回、恐怖のエピソードをぶつけてくる本作。どうしてこんな話が思いつくのだろう……と洋介犬さんの思考回路にも慄きつつ、ミサキとともにサイコホラーの世界へ迷い込んでみてほしい。

文=五十嵐 大