熱湯でもない、ぬるま湯でもない、半身浴のような恋愛を堪能

小説・エッセイ

公開日:2012/2/14

トリアングル

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 中央公論新社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:俵万智 価格:486円

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恋には温度があるという。
付き合い始めは熱湯のように熱く、気持ちが離れた頃には冷水のごとく冷たくなり、落ち着いてきた時にはぬるま湯に浸かっているような温もりがある。では、半身浴のような恋とは?

お風呂の温度も恋愛の温度も少し熱めくらいがちょうどいいな、なんて思うルナルーチェの葉菜とちまみでお送りいたします。

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【葉菜】家のお風呂の温度は41度! な葉菜です、皆さんこんにちはー!

【ちまみ】今回のお話、タイトルからして、もしや三角関係もの!? きゃー、なんだかドキドキしちゃう!

【葉菜】ちまみさんの予想とはちょっと違ったトライアングルですけどね。では作品のあらすじ。主人公・薫里は33歳のフリーライター。実は彼女、45歳のMという男性と不倫関係にある。しかしある日、よく飲みに行く「しほ」という店で、26歳のフリーター・圭ちゃんと出会い、関係を持つようになって…。

【ちまみ】…なるほど、読んでみて葉菜ちゃんの言葉がわかった。三角関係にありがちなドロドロ展開が一切ないのね、この話。むしろ、あっさりさっぱりしてて、なんだか小気味良い感じ。特にMとの関係なんて、あまりにも平穏でのほほんとしてて、不倫って感じが一切ないわー。

【葉菜】若い圭ちゃんと大人のMを天秤にかける話なのかな、とか私もちょっと思ったんですけど、作中にある言葉でハッとしたんですよね。本文をちょっと抜粋しますと、「Mか圭ちゃんか――と、美佳は言うけれど、そもそも彼らは、椅子取りゲームをしているわけではない。椅子は2つあるのだ。しかも、だいぶ離れたところに、種類の違う椅子が。」ってところ。圭ちゃんもMちゃんも、薫里にとっての一部を占めていて、それは秤にかけるものじゃないんだな、と思いました。

【ちまみ】恋愛は1人を選ぶもの、っていう常識があるけど、それだけに絞りきれない何かがある気持ちって、ちょっと分かるわぁ。私もこんな自由な女になってみたい…って、少し悪女っぽいけど思ってしまうところがあったりして。

【葉菜】不倫、二股…そんなマイナスワードが、ちょっと違って見えるこの作品。ぜひとも半身浴に浸かりながら、読んでいただきたいです。


新聞のように、というたとえに何だか納得

貧乏だけど、それでもいい。それがいい

「見学してく?」なんて誘い方、ちょっと新しいかも

端々に入る短歌から状況が読み取れる