「靴を磨くと会社に行きたくなる」と反響! 8万足を磨いた世界一の靴磨き職人による異色の自己啓発本『自分が変わる靴磨きの習慣』

ビジネス

2017/11/28

『自分が変わる靴磨きの習慣』(長谷川裕也/ポプラ社)

 ビジネスマンの必須アイテムと聞いて、何を思い浮かべるだろう。腕時計、パソコン、手帳など、あらゆるアイテムが挙げられる。その中でもとりわけ大事にしたいのが靴だ。「おしゃれは足元から」という言葉があるように、靴は私たちビジネスマンを根底から支えてくれる大事なアイテムだ。

『自分が変わる靴磨きの習慣』(長谷川裕也/ポプラ社)の著者である長谷川裕也さんは、東京・南青山に靴磨き専門店を構える靴磨きのプロ。その腕前は、2017年5月、ロンドンで行われた「ワールドチャンピオンシップ・オブ・シューシャイニング(靴磨き世界大会)」で優勝するほど。世界ナンバーワンの実力者なのだ。

 そんな長谷川さんが本書で声を大にして述べていることがある。靴を磨けば、仕事も人生も好転するというのだ。靴磨きと仕事にいったいどんな関係があるのだろうか。異色の輝きを放つ「靴磨き系自己啓発本」をひもといてみよう。

■靴は不思議なアイテム

 長谷川さんのお店を訪れるお客さんが口をそろえて言うのが「靴を磨くと会社に行きたくなる」「とりあえずやる気が出る」「人に会いたくなる」ということ。靴を磨くことで足元がきれいになり、気持ち良くなる。その結果、ポジティブな気持ちで満たされてモチベーションアップにつながるのだ。

 また、人間関係が良好になり、初対面の人から好印象を持たれるそうだ。身だしなみの基本は手先や足先をきれいにすること。体の先端が大事になる。靴を磨けば足先が清潔に見えるので、自然と対面で好印象を受ける。当然それは自信にもつながってくる。

 そもそも靴はビジネスアイテムの中で最も汚れるものでもある。しかしビジネスマンの多くは靴に敬意を払っておらず、汚れたまま使っている。これでは「セルフマネジメントできなそう」「仕事や時間に余裕がなさそう」と思われても仕方がない。できるビジネスマンは相手の靴を見る傾向にあるので、靴の清潔さはいわば「相手を見極める判断基準」。つまり靴を磨けばそれだけで相手から信頼を得ることができる。

 靴とは不思議なアイテムで、靴をきれいにすると全身が洗練されていく。磨き上げられた靴を履くと、足元がすっきり気持ち良い。すると靴下に気を遣うようになり、薄くて良質なものを選ぶようになる。さらに靴を際立たせるパンツの丈やシルエットが気になり始め、身体に合った良いスーツを選ぶようになる。良いスーツは一度着ると、ずっと着続けたくなるので、やがてウエスト回りも気にし始める。

 このように靴を磨き上げるだけで、生まれ変わったかのように変化が訪れ始めるのだ。長谷川さんによると、ヨーロッパにはこのようなことわざがあるそうだ。

「とびきりいい靴を履きなさい。いい靴を履いているとその靴がいいところへ連れて行ってくれる」

 人は足元から変わることができる。きっとそれを体感することになるはずだ。

■超一流靴磨き職人の10のワザ

 ここからは8万足を磨いた超一流靴磨き職人の長谷川さんに学ぶ「正しい靴の磨き方」をほんの少しだけご紹介したい。靴磨きは以下の10の手順で行っていく。

1. まずは紐やバックルを外す
2. 馬毛ブラシでホコリを落とす
3. クリーナーで汚れを落とす
4. クリームを塗り、革に栄養を与える
5. 豚毛ブラシでクリームを浸透させる
6. 余分なクリームを拭きとる
7. ワックスを塗ってコーティングする
8. 水をつけて磨き、光らせる
9. 7と8を繰り返し、さらにツヤを出す
10. 仕上げに水だけで磨く

 本書では写真と解説を加えて分かりやすくプロの磨き方を紹介している。また、一般的な靴磨きキットは2000円から3000円ほどで販売されているので、靴磨きデビューにはもってこいだそうだ。

 さらに本書ではワンランク上の靴磨き、靴を長持ちさせる方法、靴を大切に扱う上で知っておきたいQ&Aもあるので、これを機会に靴を磨きたくなった方は手にとって損はないだろう。

 私たちは地に足をつけて生きる動物だ。どれだけ食事を正そうが、どれだけ容姿を気にしようが、足元から崩れるとすべてが崩れてしまう。靴は私たちの足元を大切に守ってくれる相棒だ。靴を愛することは自分を愛することにもつながる。この際、ティッシュでも雑巾でもなんでもいい。騙されたと思って、今すぐ靴を磨いてみてほしい。そしてそれを習慣にしてほしい。そうすれば読者も長谷川さんの言うことが足元から実感できるかもしれない。

文=いのうえゆきひろ