社畜な男が、突然見知らぬ女子中学生と暮らすことに!? 変わってるけど優しい、ひとつの「家族」の物語
更新日:2017/12/25
1人暮らしをしていると、自分のペースを乱す人はいない。仕事や学校、自分の予定に合わせて、自由に行動できる。そんな生活に慣れると、人との生活も、人としての正しい生活の仕方も忘れてしまう。忙しければ尚のことだ。『社畜と少女の1800日』(板場広志/芳文社)の主人公・東根将彦も、1人暮らしかつ社畜な生活で、家には帰って寝るだけ。ひどい時は、何日も会社に泊まり込むような生活を送っていた。洗濯物は散らかしっぱなしだし、引っ越してきた時の荷物もそのままだ。
ある夜、そんな東根のもとに、突然見知らぬ少女がやってきた。東根は何事かと驚くが、どうやら彼女・君島優里は、高校の時のクラスメイト・君島里美の娘らしい。優里によると、母親が出て行ってしまい、家も引き払われて行くところがないという。そして唯一残されたものが、この家の住所が書かれた書き置きだったのだ。こうして、東根は、突然優里と暮らすことになってしまった。
しかし東根は社畜だ。家に帰らないことも多い。最初は施設に行った方がいいと勧め、このまま優里を置いていていいのかと悩んでいた。しかし一緒に暮らす中で次第に優里に情が芽生えていき、まるで本当の娘のように優里のことを思い、心配し、接するようになっていく。そして“とある出来事”をきっかけに、東根は優里を娘として育て、嫁に出す決意をする。その中で、仕事をこなすだけの廃人のような生活にも変化が見え始める。
一方、優里も決して状況に甘んじているわけではない。自分はまだ子どもで、1人では生きていけない。それを自覚しているからこそ、できる限りのことをしている。家事をこなし、新聞配達のアルバイトをしながら学校にもしっかり通っている。自分が中学の時のことを思うと、もうただただ尊敬しかない。また、父親を知らない優里は、東根と暮らす中で、心配してくれる人がいる温かさを知っていく。
この『社畜と少女の1800日』は現在2巻まで刊行されているが、まだまだ2人の関係は手探りで、発展途上にある。さらに、多感な時期である優里は、自分が東根のことをどう思っているのかに疑問を抱き始める。
優里と生活していく中で、東根を取り巻く環境は確実に大きく変わっていく。2巻の後半では、東根を気に入っている美人上司にも優里のことを気付かれ、優里のクラスの担任をしている女性との関係も進展していく。東根と優里の関係は、今後どうなっていくのか。母親は一体何をしているのか。上司や担任との関係は!? 様々な人間の感情が渦巻きながら、物語は続いていく。
文=月乃雫
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