貧乳コンプレックスの少女が入学したのは、まさかの「育乳機関」。爆乳への道のりは成功なるか!?
更新日:2018/1/5
強烈なメッセージ性がある。現代社会を痛烈に批判している。そういったマンガに出合うと、ため息がこぼれ、深く考えさせられることがある。マンガ好きの中には、そういった作品をこよなく愛する人たちも少なくないだろう。
しかし、その真逆、ただただ娯楽としての立ち位置に専念し、読者を楽しませることに心血を注ぐ作品に出合えるのも、マンガ読みの楽しみでもある。そして、久々に頭を使わずに爆笑できるマンガを見つけた。それが『嘘つきは爆乳の始まり』(クドゥー/TOブックス)だ。
本作は、貧乳で悩む主人公・二亜(にあ)が、愛する彼氏のために爆乳を目指し、日本を代表する“育乳機関”である聖双ヶ丘学園に入学するという、紛れもないコメディである。……もう、この字面だけで面白い。
作品のテーマは言わずもがな、バスト。本来は巨乳のみしか入学を許されていない学園に入り込むことができた二亜は、豊満なバストを持つクラスメイトにバカにされたり、協力されたりしながら、彼氏との結婚を夢見ては育乳に励むのだ。とはいえ、その育乳も振り切っている。ソフトボールをバストでキャッチしたり、バストを使った書道をしたり……。もう、もはや育乳など関係ない。にもかかわらず、貧乳コンプレックスを抱く二亜は、とにかく必死になるのだ。
そう、本作の魅力は、この二亜の奮闘ぶりにある。そもそも、彼女がバストを気にするようになったのは、彼氏が留学してしまい、巨乳な外国人女性に囲まれる状況になってしまったから。貧乳のせいでフラレたくない。根底にあるのは、彼氏が大好きという純粋無垢な気持ちだ。……ちょっと間違った方向へと進んでいる気もするが。
12月1日(金)に発売された第1巻は、ほんのプロローグ。二亜とクラスメイトたちとのちょっと、いや、かなり愉快な日常が描かれている。それと同時に、彼氏の妹なんかも登場し、二亜の邪魔をしようとするあたりも憎らしい。
本作を読んでいて、二亜に一言物申すならば、「男はバストばかりを気にしているわけじゃないよ?」。現に、二亜は今のままで十分かわいらしいのだ。けれど、いまは何を言っても無駄というもの。彼氏へ猪突猛進な彼女の育乳が成功するのかどうか、黙って追いかけてあげようじゃないか。
文=五十嵐 大
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