「うんこ」をタブーとするなかれ。うんこが教えてくれる大事なこと

健康

2017/11/30

『恥ずかしがらずに便の話をしよう』(佐藤満春:著、大竹真一郎:監修/マイナビ出版)

「うんこ!」というだけで大笑いする子供時代はいつ終わったのだろう。いつのまにか会話にうんこは登場しなくなり、成長とともに排便自体を恥ずべきもの、隠さねばならないものとし、タブー化する。しかし、生きている限りうんこをしないなんてことはないし、あの人やこの人もうんこをするのだ。

 本書『恥ずかしがらずに便の話をしよう』(佐藤満春:著、大竹真一郎:監修/マイナビ出版)は、タイトルこそ「便」としているが、一冊まるごと「うんこ」の本。著者の本職はお笑い芸人だが、ふざけるでもなく、真摯に正面からうんこについて語った一冊である。

 みなさんは、排便をしたときに自分のうんこを観察しているだろうか。うんこは毎日、あるいは数日に1回以上、自分の中から出てくる。ということは、自分の体や健康状態をチェックするうえで、とてもいいバロメーターなのだ。ブリストルスケールというイギリスで誕生した大便の世界的指標がある。うんこを硬さと形で7種類にわけ、便秘や下痢を診断しようというものだ。さすがに写真はなかったが、本書にはうんこのイラストつきで載っているのでわかりやすい。正常な便とはどんな状態なのか、一度チェックしてみてはいかがだろうか。

 また、良いうんこには、硬さと形以外にもっと多くの要素がある。回数、量、色、におい、出方、トイレットペーパーで拭いたときの便のつき方まで様々なポイントがあり、そこから病気のサインがわかることもある。例えば色。黒っぽい便は、腸内に大便が長時間滞留すると黒みがかかった色になるので、便秘がちな人にありがちだ。だが、同じ黒でもドロリとしたタール状だった場合は赤信号。突然このタール状の便が出た場合、十二指腸潰瘍や胃潰瘍、胃がんなどからの出血が疑われる。すぐに医療機関を受診し、検査の必要があるとのことだ。

 うんこは腸で作られる。だから、よいうんこのためには腸内環境を整える必要があるが、これが美肌にもつながる。なぜなら、腸内に悪玉菌が増えると老廃物が産生され、これが腸から吸収されて、毛穴の黒ずみや吹き出物などの影響を及ぼす。また、腸内では11種類のビタミンを合成しているというが、腸内環境が悪ければビタミン合成が鈍ってしまうため、肌トラブルを起こしやすくなる。ちなみに、いくらサプリメントを飲んだとしても、腸内環境が整っていないと吸収することはできない。

 超高齢化社会の現代、介護が必要となる要介護高齢者も増加している。介護する側にもされる側にも大きな問題となってくるのが「排泄」だ。どんなに親しい間柄であっても、排泄行為を手伝う、手伝ってもらうというのには抵抗があるだろう。

 夜中を含めて日に何度もあるトイレ介助は、介護する側への負担は計り知れないものがある。一方で、紙おむつをつけてベッドで寝たままの姿勢は、踏ん張ることもできず、重力の助けも得られず、最も排便しづらい姿勢となっている。また、排泄が自分でできなくなるということは、健康な人には想像ができないくらい、自尊心を傷つけている可能性があり、とても難しい問題だ。

 本書は、うんこの正体から健康との関係、腸内環境の整え方、学校でうんこができない小学生の問題から介護問題まで、うんこに関する話題を広く網羅している。食と同じくらい、排便には大切な要素がたくさんあり、食育と同じように便育を広めたい、という著者の思いが込められた一冊。うんこの重要性に気づくきっかけとしてほしい。

文=高橋輝実