「このマンガがすごい!2012 オンナ編」第2位! 落語が舞台の人情マンガ

2012/2/16

昭和元禄落語心中 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:雲田はるこ 価格:540円

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「もしかすると、『落語』っておもしろいのかもしれない」
という気持ちを持ったままずっと放置していたんです。そう、おもしろそうだけどなんとなく踏み込めない感じ。おじいちゃんおばちゃんに交じって笑える自信がなかったのです。その迷いを取っ払い、寄席へ導いてくれたのがこの作品です!

物語はひと昔前にさかのぼり、昭和元禄。満期で出所した強次(与太郎)は、昭和最後の大名人と名高い八雲が刑務所慰問で演じた「死神」が忘れられず、真っ先に寄席へと向かい八雲に弟子志願を請うのだが…。

「昭和元禄」とは東京オリンピックや日本万国博覧会が開かれた年代、つまり高度経済成長の日本が舞台。ちょうど、映画「ALWAYS三丁目の夕日」の時代ですね。今はもうほとんど聞かなくなった江戸言葉の響きは、この時代を生きていない私でもなぜか懐かしい気持ちになります。そして言葉と同時に、絵にも注目して欲しい。シンプルなのに表情が細かく、情感があって心に沁みます。私の第一印象は「絵が語るマンガ」。八雲が落語を演じるシーンは見どころです!

主人公与太郎をはじめとする登場人物はそれぞれ落語に対して深い情熱を持っているのですが、“好きだ!”というストレートな気持ちよりも、“憑りつかれてしまった”という表現の方がこの作品にしっくりくる、そんな怪しい雰囲気があります。またこの作品、人間ドラマがすごい! 父である有楽亭助六を育ての親八雲に殺されたと思い、復讐を企む娘の小夏。小夏と八雲、助六と八雲それぞれを取り巻く助六の死の真相は何なのか。物語の展開として気になるところ…。

噺家という芸の道を生きるということは、芸を極める“厳しさ”もあれば、この道でしか味わえない“楽しさ”もあるでしょう。そして、唯一無二の芸がその人とともに失われてゆく“はかなさ”も感じずにはいられません。役者である自分と重ねながら読み入ってしまいました。大人向けではありますが、老若男女問わず手に取って欲しいというのが私の希望です。

この作品に出会って本格的に落語熱に火が付き、楽しめる自信がついた私はお正月某日、上野広小路の寄席へ行き笑ってきました! 今ではiPodに古典落語を落として聴くまでに(笑)

「マンガ大賞2012」ノミネート、「このマンガがすごい! 2012オンナ編」第2位にも輝いた注目の作品。好きなマンガが注目されていて私もうれしい限りです。自信を持っておすすめします!


この言葉で寄席へ行ってみたいって思いました

八雲が落語に対する思いを真剣に語るシーン…グッときます!

小夏の父、有楽亭助六の死の真相とは…そして八雲との過去も気になるところ

何事も楽しんだもん勝ち!

巻末コラム「寄席に来ないか」 作者の落語への愛もたっぷりです! (C)雲田はるこ/講談社