『からかい上手の高木さん』作者も大絶賛! コミュ障のポンコツ幽霊ヒロインとお寺生まれの息子が「初めての友達作り」を目指す! 異色のラブコメが話題!

マンガ

更新日:2018/1/5

『逝けないカノジョのお手伝い 1』(中原開平/白泉社)

 なかなか友達ができない……。学生時代、このような悩みを抱いた人は少なくないと思う。いまでこそ「コミュ障」という言葉が市民権を得て、それすらもひとつのキャラクターとして許容されつつあるが、それでも当の本人からすればとても重大な問題だ。けれど、学生生活にはタイムリミットがある。高校デビューや大学デビューという言葉があるように、環境が切り替わるタイミングで気持ちを一新し、なんとか周囲に溶け込む努力をすることも可能だ。でも、友達もできず、そんな環境から“永遠に”抜け出せないとしたら……? 『逝けないカノジョのお手伝い』(中原開平/白泉社)のヒロイン・輪子(りんこ)さんは、まさにそんな不憫な状況に置かれている子だ。

 彼女はいったいどうしてそのような状況にいるのか。それは“地縛霊”だから。10年前、病気がちだった彼女はほとんど登校することができず、友達を作ることもかなわないまま、この世を去ってしまった。そして、その未練のあまり、学校の屋上で友達になれそうな誰かが来るのをずっと待っているのだ……。

 ここまで読むと、なにやら不穏なホラーのようだが、本作は非常にカラッとしたコメディである。相手役となるのは、輪子さんが住む高校に通う男子高校生の寺田妖平(てらだ・ようへい)。お寺生まれの妖平は、ひょんなことから輪子さんと知り合い、なぜか彼女の友達作りを手伝うハメになってしまうのだ。

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 ところが、その友達作りがなかなかうまくいかない。生粋のコミュ障である輪子さんは相手との距離感がつかめず、近づきすぎたり遠慮しすぎたり、またはとんちんかんな発言をしてしまったり、とにかく妖平の手に負えないレベルなのだ。けれど、彼女を見ていると、決して他人事とは思えなくなってくる。相手の顔色をやたらとうかがったり、緊張で言葉を失ったりといった過去の経験が、どうしても浮かんでくるのだ。そう、彼女はコミュ障だった経験を持つ者の代弁者。だからこそ、一生懸命努力する姿を見ていると、心の底から応援したくなってくる。こんなにも応援したくなるヒロインがいただろうか。

 11月29日(水)に発売された第1巻では、輪子さんと妖平との出会いから、学校に住む幽霊の花子さんや、クラスメイトに紛れている妖怪の二口女など、バラエティに富んだメンツの登場までが描かれている。“逝けないカノジョ”を妖平がどのように救い出すのか、今後も目が離せないだろう。

 ちなみに、単行本の帯には『からかい上手の高木さん』の作者・山本崇一朗さんが大絶賛のコメントを寄せている。確かに、“個性的なヒロインとそれに振り回される主人公”という設定は共通するところがあるかも! きっと“高木さん”ファンもハマるはずなので、ぜひ読んでみてもらいたい。

文=五十嵐 大