筒井康隆による「これぞカッコイイおじいちゃん像」

小説・エッセイ

2012/2/17

わたしのグランパ

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 文藝春秋
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:筒井康隆 価格:378円

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2006年、細田守監督によるアニメ映画化で若い世代にもファンが広がった「時をかける少女」の原作者、筒井康隆によるジュブナイルです。1999年出版。翌2000年、第51回読売文学賞受賞作品。2003年には映画化もされています。

個人的に、中学生で短篇集を読んでから氏のファンで、ブラックでシニカルな物語なら筒井康隆だ、という勝手なイメージを持っていたのですが、あらためて幅の広さをガツーンと思い知らされました。

本作は、万人向けの、とても読みやすいハートウォーミングなストーリー。
--中学生の珠子(たまこ)は、父親、母親、祖母の4人暮らし。ある日、父の日記を盗み見ると、自分の記憶にない祖父(グランパ…グランドパパからの略称)のことが書いてある。記述の中には、「囹圄(れいぎょ)の人」という難読キーワードが。この言葉が、祖父のナゾを解くのだろうが、盗み見た後ろめたさから、父に聞くわけにいかない。そして、家族が急にソワソワし始めた、近頃の状況--序盤は、謎解きのような展開で、物語に引き込まれていきます。

やがて、ついに「囹圄の人」だったワケありの祖父が10年以上ぶりに帰宅し、初日から珠子をめぐる学校のイザコザに介入。持ち前の男気と行動力で問題を次々と片付けていく。同時に、珠子が抱いていた祖父に対する疑念、不信、不安が解けていく。

近年、特に育児や保育において、おじいちゃん・おばあちゃんの存在感が増していることを、ご存知でしょうか。
父、母、子どもで暮らす「核家族」の世帯が増えています。いわゆる、社会的な核家族化です。母親は孤独な環境で育児に悩み、ネグレクト(育児放棄)に走ってしまう。メディアでもよく取り上げられる社会問題のひとつですが、祖父・祖母が同じ屋根の下で暮らしていれば、育児の相談ができ、ネグレクトが減るだろうとも言われているのです。

また、保育所や幼稚園の保育においては、幼児たちが近隣の介護施設に出向いたり、園(所)に高齢者を招いたりして、幼児と高齢者の交流を図る取り組みが積極的になされているところもあります。幼児は、昔遊びなどを通じて知恵や風習を教わり、高齢者には何かを孫世代に伝えることで生きがいを感じてもらう。

本作でも、昔気質の祖父に主人公が大きな衝撃を受け、精神的な成長を見せます。おじいちゃん・おばあちゃんの存在は、かくも偉大ということですね。

映画版では、主人公の五代珠子を石原さとみ、グランパの五代謙三を菅原文太が演じます。原作を読んでから配役を知ったのですが、コレ、自分の中のキャラクターイメージとピッタリ。さっそくレンタルに走りました。

カッコイイおじいちゃんの活躍にシビれてください。


「囹圄」?…いったいなんと読むのか。このナゾから、物語が展開していく

「れいご(正しくは、れいぎょ)」と読む。意味は…? 祖父についての深まるナゾ

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タイトル「グランパ」につながるシーン。グランドファーザーではないところがチャーミング