「いつも忙しい」を今すぐ断ち切るスケジュールの作り方

ビジネス

公開日:2017/12/20

『2軸思考』(木部智之/KADOKAWA)

■「思考の選択と集中」で仕事の効率は変わる

 仕事を効率的に進められる人は、ムダなことを考える時間を極力少なくしています。反対に、仕事が遅い人はムダなことを考えている時間が長い傾向があります。

 よく、経営戦略では「選択と集中」が重要だと言われますよね。重要ではない事業にまで経営資源を割くことをせず、重要な事業を選び、そこに集中して経営資源を投下することが経営の効率化につながる。これは思考においても同じです。

 一番いけないのが、なんとなくすべてを考えようとすること。これは、完全に時間のムダです。
 たとえば、考えるための時間が1時間あったとしましょう。この時間を、ムダな検討にまで時間をかけるのか。それとも、効果の高い重要なことだけに費やすのか。それによって、仕事の成果は大きく変わってくるのです。

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■考える必要のないことはグレーでぬりつぶす

 何かについて考えを進めるときは、まず考えることの枠を作ります。
 そして思考の選択と集中のため、私はこの枠に「ぬり絵」のイメージを使っています。いま考えるべきではない枠をグレーでぬりつぶすことで、枠に重要度の濃淡がつきます。そうすることで、必要のないことを考えなくて済むようになるのです。

 たとえば、東京、大阪、名古屋、福岡の各都市の売上データについて考えることになったとしましょう。

 このとき、「売上の伸び悩みをどう解決するか」がテーマであれば、売上が伸びている地域については考える必要がありません。大阪、名古屋の売上が伸びているのであれば、大阪、名古屋の枠はグレーにぬりつぶします。


 こうすれば、大阪、名古屋については考える必要がないことが一目瞭然になります。

 4都市すべてを検討するのではなく、2都市についてだけ考えるようにすれば、必要な時間は単純に半分になります。これが、思考の選択の効果です。

 また、同じ時間をかけて4都市すべてを検討する場合と2都市についてだけ考える場合とでは、思考の密度が違ってきます。これが、思考の集中の効果です。

■時間に濃淡をつけてスケジュールを管理する

 ちなみに、私は自分の1週間のスケジュールもぬり絵で考えています。
 手帳の見開きが1週間の全体像です。この中で、定例ミーティングですでに埋まっている時間帯をまずグレーでぬりつぶします。ここには予定を入れられないので、グレーにして「ないもの」と考えるわけです。

 反対に重要なミーティングを違う色でぬりつぶすと、そこが際立ちます。その直前にはできるだけ他の仕事を入れないよう、注意することができます。

 こうしておくと、あとから新しい打ち合わせなどを入れる場合などに、調整可能な時間帯とそうでない時間帯がパッと見てわかるので、予定が立てやすくなるのです。


 よく、重要なミーティングの前に他のミーティングを入れてしまって十分に準備ができないまま臨んでしまう人がいますが、それは1週間の中の時間の濃淡を把握しておらず、適切なペース配分ができていないことが原因です。

 時間に濃淡をつけ、他の要件を入れられる時間とそうでない時間を明確にしておけば、時間をスムースに使うことができるようになります。
 そして、思考にあてられる時間で「選択と集中」を適切に行って考えるようすれば、仕事を効率的に進められるようになるはずです。

木部 智之(きべ ともゆき)

日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。
横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBM にシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。英語はもちろん、日本語も含めていくつもの言語を巧みに操り、かつ仕事も優秀な彼らに衝 撃を受け、自分はグローバルに通用する人材なのかと自問自答した。 それ以来、いちビジネスパーソンとして世界中どこでも通用するスキルを身につけることを追求してきた。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』『複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考』(いずれもKADOKAWA)がある。