社長がこんなフレーズを口にしたら、あなたの会社は危ない!「優秀な上司をつけたので成績の悪かったあの部署も大丈夫だ」

ビジネス

公開日:2017/12/28

『絶対会社を潰さない社長の口ぐせ』(小山 昇/KADOKAWA)

 皆さんは、上司、あるいは部下との相性、組み合わせに満足していますか?
 本来、グループを編成するときは「誰と誰が組むのか」に配慮する必要があります。
 しかし、誤った編成をしている会社はよく見受けられるものです。

 もし、会社の社長が「優秀な上司をつけたので、成績の悪かったあの部署も大丈夫だ」。こんな発言をしていたら、その会社は危ないかもしれません……。

 フランチャイズ事業、中小企業の経営コンサルティング事業を柱に15年連続で増収を続けている企業、株式会社武蔵野。その代表取締役社長である私、小山昇が、「優秀な上司をつけたので、成績の悪かったあの部署も大丈夫だ」発言の危険性について解説いたします。

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■できる人同士、できない人同士が競えるのがよいグループ

 グループを編成するときに組ませ方を間違えると、組織の生産性が落ちます。
レベルの違う人同士を組ませると、優秀な社員がやる気をなくすケースがあるからです。とくに「実力不足の上司と、優秀な部下」の組み合わせは、最悪です。わが社も、部下がダメ上司に愛想を尽かして辞めたケースが多くありました。

 チームは、「同じレベルの上司と部下が組む」。これが鉄則です。
 多くの社長は、「仕事ができる上司には、仕事ができない部下をつける。そうすれば、部下の実力が上がる」と考えます。
 この考えは、間違いです。「優秀な上司には優秀な部下をつける」「仕事ができない上司には仕事ができない部下をつける」のが、正しいチームのつくり方です。
 なぜなら、力が同じレベルの人同士でグループをつくったほうが、切磋琢磨しやすいからです。
 大相撲の番付を例に考えると、わかりやすいでしょう。横綱と序二段が同じ土俵で相撲を取ったら、序二段はいっこうに勝てない。でも、序二段同士なら、勝てるから頑張ることができるのです。
 できる人同士、できない人同士を競わせるから会社は活性化する。これを覚えておいてください。

■組織を強くするのは、能力ではなく価値観の共有

 ちなみに私が社長を務める株式会社武蔵野では、能力よりも、価値観(考え方)を共有できるか否かを重視しています。能力のある社員を集めても、価値観が揃っていなければ、組織はバラバラになります。私と価値観が一緒、というだけで入社した社員も多くいます。
 私と同じような失敗をやるような人材でないと、武蔵野には合いません。飲み会で酔いつぶれて迷惑をかける。大歓迎です。人に迷惑をかけたことがないエリートは我が社には不要なのです。

 価値観が揃っていれば、「同じ優先順位で行動する」ことができるため、少しくらい能力が劣っていても、組織を強化する人材として役立てることは可能です。
 たとえば、高校野球の名門校で、1年のときからレギュラーを取っていた選手がいるとしましょう。この選手が親の都合で転校することになり、甲子園予選で万年1回戦負けの弱小高校に転校したら、どういうことが起きると思いますか?
 おそらくレベルが違いすぎて、やる気を失うでしょう。
 会社も同じです。会社のレベルよりも優秀な人材を採用すると、やる気をなくして辞めてしまいます。

 わが社のような中小企業は、戦力を分散して持っておくことができませんから、ライバルとの戦いは、総力戦です。
 そのため方針を共有し、価値観の揃った同じレベルのグループで会社を作っておく必要があるのです。

――「優秀な上司をつけたので、成績の悪かったあの部署も大丈夫だ」。もし、社長がこんなフレーズを口にしたら、あなたの会社は危ないと考えてください。

<著者紹介>
小山 昇(こやま のぼる)

株式会社武蔵野 代表取締役社長。 1948年山梨県生まれ。
2001年から中小企業の経営者を対象とした経営コンサルティング「経営サポート事業」を展開。700社以上の会員企業を指導しているほか、全国各地で年間240回の講演・セミナーを開いている。主な著書に「社長の決定シリーズ」の『経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』『本当に儲ける社長のお金の見方』『絶対に会社を潰さない強い社員の育て方』『右肩下がりの時代にわが社だけ「右肩上がり」を達成する方法』(以上、KADOKAWA)、『残業ゼロがすべてを解決する ダラダラ社員がキビキビ動く9のコツ』(ダイヤモンド社)など多数。