新元号の漢字二文字は? スマホの次に来るものは? 2018年を乗りこなすための必携バイブル『文藝春秋オピニオン』

社会

更新日:2018/1/15

『文藝春秋オピニオン 2018年論点100』(文藝春秋)

 新年恒例本のひとつ、『文藝春秋オピニオン 2018年論点100』(文藝春秋)。本書は、その年、日本の老若男女にとって重要になるテーマ(課題や話題)を、政治・経済・ビジネス他、幅広い分野から100に絞って論点を提言する。

 ひとつのテーマに対して、その分野の専門家や評論家が、見開き(4ページの場合もある)で手短にまとめているため、日頃、評論文を読み慣れていなくても論点を把握しやすいのが特長だ。では、筆者が気になったテーマをいくつか紹介していこう。

■「『新元号』はいかに制定されるか」

 まずジャンル「皇室」から、「『新元号』はいかに決定されるか」(No.20/論者:所功氏/モラロジー研究所教授)。

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 周知の通り、今上天皇の生前退位が2019年4月30日に決まり、平成に代わる新元号が翌5月1日に制定される。では、新元号はどう決まるのか?

 本稿には「平成」が決まった際の過程が紹介されている。まず政府から「漢文学の専門家数名」に考案が依頼される。候補案は3つに絞られ、最終的に「有識者8名と衆参両院の正副議長4名」が、全員一致で「平成」を選んだという。

 さて、ポスト平成はどのような言葉になるのか? 残念ながら本稿にその答えはないが、元号選びの条件がこう記されている。

 国民の理想として良い意味を持つ、漢字二文字、書きやすく読みやすく、俗用されてない言葉、である。これをヒントに、新元号を予想してみてはいかがだろうか。

■「何が来るか? スマートフォンの『次の時代』」

 次にジャンル「科学・技術」から、「何が来るか? スマートフォンの『次の時代』」(No.77/論者:西田宗千佳氏/フリージャーナリスト)。

 お、来年、ポストスマホが来るのか? と興味をそそられるタイトルだ。しかしこれ以上便利なツールは想像しにくい。本稿を読み進めてみると、「2020年までは『スマホファースト』の流れは変わらない」との予測。

 がしかし、「(この3年間で)スマホとの付き合い方が変わる」と指摘する西田氏。それが「ディープラーニング技術の進歩」だ。その技術とは、「大量の情報から特長的な場所を見つけ出し、それがどういう価値を持っているかを判別するもの」だという。

 音声認識、画像認識もその一環で、例えば、アリの画像からそれがヒアリかどうか判別するなど、機能がさらに進化する可能性があるそうだ。さらには人間を自動で支援する「エージェント機能」が充実し、「直前に行っていた作業情報をもとに、次にやりたいことを先回りして教えてくれるようになる」という。

 スマホが便利になる一方、人が自主性・能動性を放棄しはしまいかと、不安もよぎる。

■「『東大合格ランキング』は学力観の遅れの象徴だ」

 最後はジャンル「教育」から。「『東大合格ランキング』は学力観の遅れの象徴だ」(No.82/論者:尾木直樹氏/教育評論家)。

 もちろん、尾木ママではなく直樹氏としての登壇だ。尾木氏は本稿で、週刊誌が行う恒例の「東大合格ランキング」の発表により、東大がさも高校生の目指すべき最高のゴールであるかのような認識につながっている、と憂いている。

 そこで、同時に大学世界ランキングも提示せよ、と尾木氏は言う。というのも、東大は2017年9月発表の世界ランキングで46位、京大が74位、その他は100位圏外だと指摘し、もっと世界の学力レベルの高さに目を向けるべき、と主張する。

 また2020年には、「センター入試」が「大学入学共通テスト」へ改変され、学習指導要領にも、主体的・対話的で深い学びを行う「アクティブ・ラーニング」が導入されるという。中高生を子供に持つという方は、ぜひ、本書で詳細をチェックしてみてほしい。

 他にも様々なジャンルで、2018年以降、日本に押し寄せる潮流の数々が記されている。時代の波を乗りこなすためのバイブルとして、本書を活用してみてはいかがだろうか。

文=町田光