家族を破壊する「孤独病」の正体は? 大切な我が子を引きこもりにさせない、殺人者にさせないために親が今するべきこととは
公開日:2017/12/15
子どもに気軽にゲーム機を与えていないだろうか?静かになるからちょうどよい、留守番させるのに都合がよいなどと無制限に使用させていると、のちに家族が破壊されるような事態が起きる可能性があるのだ。『一家を破滅させる「孤独病」』(浅川 雅晴/ロングセラーズ)では、10万人の心の病を診てきた医師・浅川 雅晴氏が、スマートフォンやTVゲーム、パソコン、インターネットが人間にもたらす影響を警告する。
10年前くらいから出てきた新しい病に「テクノストレス症候群」がある。腰の痛み、目の奥の痛み、強い肩こり、耳鳴り、頭痛などを、あるとき突然発症するという。この頭痛は前かがみで長時間機械類と向き合うことで、脊髄液が漏れてしまうことによるもので、頭痛薬が効かず、検査でも見つかりにくいという。
「テクノストレス症候群」の改善方法として、せめて土日は携帯電話が普及されていなかったころの生活をしようと著者は述べる。釣りなど自然と親しむことや、木工制作など、続きをする楽しみがあるものを見つけると改善されていくという。しかし簡単に治せない病気のため、仕事上、機械類から離れることが難しいとなると悪化させ、うつや引きこもりにつながってきてしまうのだ。
現代は、テクノストレス症候群の中でも最悪な「孤独病」が出てきているという。人と接することが苦手で、自室に閉じこもり機械と向き合う孤独な生活から起こるストレス病である。孤独病は体の痛みはほとんど出ない。体のだるさ、面倒臭さが体の中にこもり続けており、重症化すると、突然、ストレスエネルギーを外に向けて爆発させる。家で暴れたり駅の壁を蹴ったり、人に怪我をさせたり、無差別殺人や、本人が自殺してしまう可能性もある。
大人だけでなく、未来ある子どもも「孤独病」に患わせる危険がある。6歳児にポケットサイズのゲーム機を与えると、ゲーム機から始まった機械使用から12年、大学受験のころ突然体調を崩す。治療には1~2年はかかるので、本人の人生路線が狂う。就職したとしてもゲーム三昧、人と向き合うことができずに育っていれば、仕事も続かず、引きこもりになる可能性が高い。
我が子が「孤独病」になると、家族の精神的、経済的負担は相当なものであり、生活は破壊される。「孤独病」の原因を作らないために、どうしたら学童期にゲームをさせないで済むのかを著者は考え、「昭和の子供達」の生活を紹介している。未来ある子どもを引きこもりにし、自殺などさせてはいけない。親がするべきことを今すぐ知るために、ぜひ読んでほしい1冊だ。
文=泉ゆりこ
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