あなたにもできる! 48歳のメタボおやじがマラソン3時間切りできた秘策とは?

スポーツ

公開日:2017/12/17

『40代から最短で速くなるマラソン上達法(SB新書)』(本間俊之/SBクリエイティブ)

 このところ腹が目立ってきたから、ウォーキングでも始めるか。だれでも一度は、考えたことがあるのではないだろうか。『40代から最短で速くなるマラソン上達法(SB新書)』(本間俊之/SBクリエイティブ)の著者・本間俊之(ほんまとしゆき)氏の場合もそうだった。陸上経験なし。酒好きでヘビースモーカーだった48歳の男が、タバコをやめて太りだした体重をなんとかしたいと、取り組んだのが、仕事帰りは最寄りの一駅手前で降りて、自宅まで歩くことだった。

 彼は、このウォーキングが自信になったのか、酒の勢いもあって、高校時代の同級生に頼まれた3kmの駅伝への参加を承諾してしまう。それで仕方なく平日にウォーキング、週末は、近所のスポーツクラブでランニングマシンでの走り込みを開始したのである。

■駅伝で感じた達成感と独特の高揚感

 駅伝では、ふくらはぎの肉離れを起こしながらもタスキはつなぎ、なんとか役目を果たした。タスキを渡したときの達成感、高揚感は著者にとって初めての体験だった。そしてそれが、マラソンにはまるきっかけとなったのだ。会社の健康診断で「メタボ認定」されたことも要因の一つではあったが。

advertisement

 以後、様々な本を読んで知識を蓄え、自分なりに工夫して試行錯誤で練習を重ねていく。そして、ついに、フルマンソン3時間切り、100kmウルトラマラソン10時間切り、富士登山競走完走(4時間30分以内)という、市民ランナーあこがれの「グランドスラム」を達成してしまった。

 もちろん、体重は、17kg減、メタボ体質から脱却できたことはいうまでもない。だれもが彼の後に続いていけるよう、本間氏が紆余曲折をへて編み出した、初心者から上級者まで役立つメソッドをあますことなく初公開しているのが本書だ。

■足の筋肉の疲労は、ゆっくり走って抜く

 ランニングを始めるにあたって、もっとも注意しなければならないのが、故障だ。本間氏も、右ふくらはぎの肉離れや右足首の靱帯断裂などの持病を抱えていた。

 彼が採用した練習法の一つが、「疲労抜きジョグ」だ。安静にしていれば疲労は抜けるが、筋肉も落ちる。だから、故障個所があっても、痛みの出ない範囲でゆっくり走り、全身の血流を促して、自然治癒力を最大限に引き出すという考え方を取り入れた。これを「アクディブレスト」(積極的休養)と呼ぶそうだ。

 初心者は、とにかく一生懸命走りすぎて疲労を溜めてしまう。それが故障につながるのだそうだ。

■さあ、今から走り出そう

 記録を取りつつ、状態を観察しながら計画を見直していくと無理なく続けられるという。練習の仕方は人それぞれなので、自分にあった方法を見つけられるのがベスト。食事やサプリメントの摂り方、給水、靴の選び方まで、これからランニングを始める人にも、長年、走り続けている人にも必ず役立つ、知っておくとよい上達の秘訣が満載だ。長く続けられる自分流の走り方でランニングを楽しみたい人に、ぜひ一読をおすすめしたい一冊だ。

文=今 眞人