子どもに自信がないと○○な人になる!? 母親が変われば子どもの学力もアップ!

出産・子育て

更新日:2018/1/15

 子どもが思春期を迎えるまでに親がしてあげられることってなんでしょう。いろいろな体験をさせること、しっかりとした教育を受けさせること、学びやすい環境を整えてあげること。星の数ほど「してあげたい」ことが思い浮かぶでしょう。けれど、「子どもが自ら生き抜く力」を養いたいと思ったとき、すべきことは絞られてきます。そのひとつが「自信」を付けさせることではないでしょうか。

「自信」がある子は何がちがうのか。それは振る舞いだけではなく、学力にも表れます。

「自分はできると思って勉強するのと、できないと思って勉強するのとでは、習熟度もまったく違います」

 このように分析するのは、楠本佳子さん。楠本さんは「こども未来塾(岡山)」の塾長であり、前著『12歳までに「勉強ぐせ」をつける お母さんの習慣』(CCCメディアハウス)で、子どもに学習習慣を身につけさせる方法を披露し、大きな反響を呼びました。楠本さんの塾では、子どもたちにマンツーマン指導を行いつつ、母親たちの教育相談にも応じています。楠本さんは、子どもに何かを身につけさせるには、お母さんの影響が大きいといいます。

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■挑戦する心は「自信」から生まれる

 その楠本さんが選んだ次のテーマは「自信」。『12歳までに「自信ぐせ」をつけるお母さんの習慣』(CCCメディアハウス)で、なぜ自信が大切か、楠本さんは次のように言っています。

「自分に自信をもっていないと、新しいことに挑戦しようという気持ちが湧いてきません。失敗することを恐れたり、『どうせ自分には無理だから』と、やる前から否定したりして、『やってみよう』という気になれないのです。

 めまぐるしく変化するこの時代。挑戦しないことはリスクにもつながります。昨日まで超一流の人がやっていた仕事が明日にはAI(人工知能)に取って代わられるかもしれないからです。フレキシブルに環境に対応し、新しいアイディアを生む。こういった能力がなければ今の時代は生き残れないでしょう。なぜなら「これまでにない新しいこと」に挑戦しなければ、AIには勝てないからです。

 しかし、子どもに「自信」を付けるといっても、大半の子どもはスポーツでも勉強でもあまりぱっとせず、成功体験を積ませるのは、なかなか難しそうです。さらに親が影響力を持つのは、思春期以前。短期間の勝負なのです。

 そこで楠本さんが提案するのは、お母さんやお父さんに子どもをよく「観察」してほしいということです。

■思い込まず「観察」してみる

 勉強をするにもスポーツをするにも、「その子に合ったやりかた」が存在します。例えば、生活リズムは朝型なのか夜型なのか。またスケジュールが過密ではないか。

 教育に熱心な親御さんには、「うちの子はこういう子」という思い込みを持っている人が少なくないといいます。まず子どもの生活態度をみて、無理がないか、楽しそうに取り組んでいるのか。基本的なところを見直してほしいと言います。

 特に習い事には注意が必要です。

「子どもにとって、空き時間、自由な時間を作ることは大切です。それは子どもが考える時間でもあり、リラックスする時間でもあり、何かを試そうとする時間であるかもしれません」

 どういう目的でその習い事が必要なのか。将来を見据えて厳選しましょう。良くないのは「とりあえずやらせればいい」という考え方。そして「時間を有効に使おうと過密スケジュール」にしてしまうこと。多すぎる習い事は、子どもの時間を奪い、子どもを疲弊させてしまいます。

 楽しくもなければ、興味もないのにやらされ、お金の無駄、時間の無駄に。そして自信どころか、できないというコンプレックスを植えつけることになりかねません。あなたの子どもは習い事に忙殺されていませんか? 本当は塾や習い事で忙しすぎて、子どもは眠いのではないか。よく「観察」してみると、実は気乗りせずに習い事に向かっているのかも。

 気を配るのは親の役目です。まず「観察」して子どものコンディション、特にメンタルを含めたコンディションに気を配ってみてください。子どもに合った習い事の種類や、ペース配分を調節することで、より習い事に楽しく生き生きと取り組めるでしょう。そして最終的には達成感・成長感が得られ「自信」につながります。

■「聞く」ことが最高の愛情表現

 もうひとつ自信を育むうえで大切なのが、「子どもの話をよく聞く」こと。子どもが自分に自信を持つためには、ベースとして「自己肯定感」が必要。「自分には価値がある」「自分は必要とされている」「自分は愛されている」といった思いを持っているかどうか。こういう感情こそ、親が与えられる最高のギフトではないでしょうか。そのためには、自分がいかに子どもを愛しているか、きちんと伝える必要があります。

 ただ、いきなりスキンシップを取ったり、毎日「愛している」と言ったりしても、気持ち悪がられるだけかもしれません。そこで楠本さんは提案します。

「愛情表現には、スキンシップなどいろいろありますが、子どもがある程度の年齢になったら、『話を聞いてあげること』ではないかと、わたしは思っています」

 お母さんが聞き役になるのは、簡単ではありません。「ずっと見てあげる」ことが必要であり、お母さんが「受け身」になって、子どもの話を受け止めてなければならないからです。楠本さんは、この「聞いてもらうこと」がいまの子どもに、一番足りないことではないかとも考えています。それだけ子どもの話を聞いていないお母さんが多いのです。

■母親も自信を持とう

 子どもに「自信」を持ってもらうため、同書では様々な提案がされています。子どもの姿勢を正すことや、子どもへの提案の仕方など、子どもとの日常生活で実践できるものばかりです。

 これら子どもへの働きかけを行うと同時に、楠本さんは、母親自身の「自信」を育てることも勧めています。

 楠本さんが塾の子どもたちに、「親に言われていちばん嫌な言葉は?」というアンケートを取ったところ、次のような答えがダントツだったのです。

それは「人と比べられること」。

 親がつい言いがちな言葉。「おとなりの○○ちゃんはあんなに勉強しているのに」「それなのに、なんであなたはできないの?」

 これらは、子どものやる気をつぶす最強の武器ともいえます。だから、「他人と比べること」を母親である、あなたが行ってはいけないのです。

 子どもにとって親からの影響は絶大です。あなたが他人と比較して落ち込んでばかりいたら、子どももそうなります。けれどあなたの姿勢が変われば、子どもも同じように変わるでしょう。

 母親が自信を持つこと。それもそう難しくはないと楠本さんは言います。まずは親も姿勢を正すこと。外側から内面を変えていくそうです。さらに、子ども以外の「好きなもの」を見つけることも大切です。その理由をこう説明します。

「一生懸命になれる何かがある人は、そんな自分に自信をもてるようになるのだと思います」

 子育てに追われるなか、自分が何を好きか気づいていない人が多いかもしれません。あらためて考え、書き出してみることを勧めています。自分のなかで、一生懸命になれるものを持てる人は、結果として子どもに依存せず、子どもをのびのびと育てることができる。そして子どもは自信が持てるという、良いサイクルを生み出すのです。

 自分自身のための行動が、巡り巡って子育てによい結果を与える。そんな良い循環をつくり出す方法が同書にはたくさん記されています。子どもに「自信」をつけるだけではなく、「自分らしい生き方」にも目を向ける。そういうかけがえのないものに気づかせてくれる1冊です。

文=武藤徉子