名著『スローセックス実践入門』のアダム徳永氏が極めた先にたどり着いた“新・スローセックス”とは

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公開日:2017/12/23

『男は女を知らない 新・スローセックス実践入門』(アダム徳永/講談社)

 世間のセックスの概念を大きく変えたと言っても過言ではない『スローセックス実践入門』から早10年。ついにアダム徳永氏がスローセックスを極めた先にある、新しい世界へと足を踏み入れたようだ。その名も「MEGAMI SEX」。セックスの奥深さが余すところなく綴られた『男は女を知らない 新・スローセックス実践入門』(講談社)には、アダム徳永氏が接してきた1000人の女性が語る「MEGAMI SEX」体験談も収められている。

■もはや超人レベルのアダム徳永氏のセックステク

 恥ずかしながら、過去にアダム徳永氏の著書を読んだことのなかった私は、まず「まえがき」にあった一節に度肝を抜かれた。「日々、4時間5時間かけて“フルコース”のスローセックスを続けたのです」「精根尽き果て、最後は肝臓の病気を患い、死に直面したほどでした」正直、この時点で本書を真顔で読める気がしなかった。心構えのない状態でいきなりこの文章を目にした私の心情は「ギャグで言ってるのか?」まさにこれである。さらに氏は手をかざすだけで女性を感じさせ、抱いているだけで女性をイカせ、遠隔で官能させることもできると豪語しており、これにも絶句するしかなかった。はっきり言ってしまえば、そんなことを主張されても初見の人間からすれば信じることはできない。もはや仙人や超人レベルの話を、アダム徳永氏が当たり前のように綴っていることに驚きを隠せなかった。

■「快感の拷問」を得た悦び

 本書には、アダム徳永氏と関係した女性たちのスローセックスへの感想が数多く紹介されている。そして、誰もがそのセックスを「いままでに経験したことのない快感」と口を揃えて語っていた。雑誌の裏に載っている眉唾モノの「幸せになれる系」グッズの広告レベルの大絶賛だ。しかし、読み進めていくうちに、私は徐々にその女性たちへの羨望の念を、そしてアダム徳永氏への尊敬の念を抱かずにいられなくなった。アダム徳永氏が与える「快感の拷問」と表現されるほどの凄まじい刺激や数えきれないほどのオーガズム。女性たちは詳細にその一部始終を語り、それを得た悦びを謳っていた。さらに、アダム徳永氏の過去の体験談として「40代の双子から懇願されての処女喪失」「セックスレス歴20年の60代夫婦へのレッスン」の記述には感嘆のため息すら漏れてしまった。この箇所を読むと、アダム徳永氏が女性性をどれほど大切に扱っているかが理解できる。「男の無知が、女性を苦しめる」という一文にもそれは表れている。

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■女も「女を知らない」

 本書を読み終えると、改めて「男は女を知らない」は優れたタイトルであると感じた。同時に、女である私も「女を知らない」のだ。アダム徳永氏の提唱を「有り得ない」などと揶揄する前に、スローセックスを実践してみるべきだったと、今更ながら猛省しているところである。「女を知らない」男と女が、価値観を変え得る一冊だと声高に主張したい。

文=もちづき千代子