正しさを疑え! あの「神さまとのおしゃべり」から3年。今度は悪魔のささやきが、悩めるあなたを幸せにする!

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公開日:2018/1/1

『悪魔とのおしゃべり』(さとうみつろう/サンマーク出版)

 3年前に出版された1冊の本が、20万部を超えるベストセラーになった。おしゃべりな神様との対話を通して主人公・みつろうが人生の価値観を変えていく、『神さまとのおしゃべり』(さとうみつろう/ワニブックス)だ。

 そして2017年10月、満を持して出版されたその続編が、『悪魔とのおしゃべり』(さとうみつろう/サンマーク出版)。「ありきたりな教え」や「道徳的な成功法則」に飽きていた主人公が悪魔と出会い、衝撃的な教えや体験を通して人生を良い方向に変えていく、というストーリーだ。

『悪魔とのおしゃべり』の主人公も、著者であるみつろう自身。ただ、『神さまとのおしゃべり』が全編を通して神様から教えを授けられる形で進んでいったのに対し、『悪魔とのおしゃべり』はみつろうが過去と未来を行き来したり、友人との会話の中で新たな事実に気づかされたりと、より構成がバラエティに富んでいる。量子物理学の分野から世界のあり方、物事の捉え方が語られているなど、頭を使う場面も多いが、対話・小説形式なのでサクサク読み進められるのは前作のまま。本書の中で、悪魔のささやきはこれまでの教えを否定する形で紹介されている。

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【これまでの教え】「正しく」て理解ができる教えをもっといっぱい学ぼう!
理解できるアドバイスなら、そもそも聞く意味がないのさ。

 人は、正しいことから逸脱することに罪悪感を覚える。「正しさ」が人間に苦しみを与えたり、可能性を奪ったりする。だから、正しさを疑うべき、というのが悪魔の主張だ。「空は、飛ばないほうが、正しい」「急に金持ちにならないほうが、正しい」などの植え付けられた正しさを疑う行為が、すなわち「悪」。それでも「悪になる」ことに躊躇するみつろうに、悪魔はこう言う。「現状を、変えたいのだろ?じゃあ、まったく理解のできないアドバイスが必要じゃないか」。

【これまでの教え】多くを得た者が幸せである。
全部、失っちゃえ!全てが、最初は持っていなかったモノだ

 人は、「何か」がないと、「何者か」じゃないと、幸せでいられないと勘違いしている。だから、手に入れたものを失うことを極端に恐れる。でも、この「何か」がないと幸せにはなれないというのが、超えるべき「正しさ」だ。人は何も持たずに生まれてきたのだから。悪魔は言う。「『何者でも、ない者』こそ、全ての人間のスタート地点だ。人生でその後に得たどんなモノを失ったとしても、絶対に不幸になんてなれないよ」。

【これまでの教え】毎日が、「良い日に」なればいいのにな。
良い日だけを求めるせいで、「悲しい日」も「苦しい日」も訪れるだろう。だが結局、その全部が「イイヒ」になるのさ。

 人生はブランコで、「後ろへ戻る」からこそ、「前へ進める」。人は毎日が「良い日だったらいいのに」と願うが、実際は悪いことが良いことを生み出していて、その逆も然り。だからと言って苦しみを無理やり楽しもうとするのは間違っていて、「苦しみの正しい『楽しみ方』は、苦しむことなのだ。悲しみの正しい『楽しみ方』は、悲しむことなのだ」と悪魔は言う。どんな日々も後から振り返ると、全部が自然と「イイヒ」に変わっているはずだから。

 本書を読み終えれば、悪魔のささやきが結局は主人公や読者を幸せに導いてくれたことに気づくだろう。悪魔の正体は実は“あの人”。ぜひ『神さまとのおしゃべり』とあわせて本書を堪能してほしい。

文=佐藤結衣