妻の感情が爆発しそうになったら、FBIのスキルを使え!? 「産後クライシス」を乗り越え夫婦の絆を取り戻せ!

恋愛・結婚

2018/1/4

『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』(ジャンシー・ダン:著、村井理子:訳/太田出版)

「産後クライシス」という言葉を聞いたことはあるだろうか。出産後に夫婦の愛情が急激に冷えこむことを表した言葉だ。今、妻の出産後に離婚の危機に直面する夫婦が急増している。厚生労働省が全国のシングルマザーを対象に行った調査によると、シングルマザーの3割近くが、子どもが0~2歳の時に離婚を経験しているという。

 大きな原因は、子どもを授かった瞬間に母になる女と変わらない男の、永遠に埋まらないギャップだ。妻は育児に追われ24時間休みがないにもかかわらず、夫は出産前と変わらず連日のように飲みに行き、深夜に帰宅。さらに休日もまったく家事や育児を手伝わず、昼寝をしたり、趣味に夢中になったりする。そんな夫の行動に、イライラした経験がある妻は多いのではないだろうか。

『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』(ジャンシー・ダン:著、村井理子:訳/太田出版)の著者・ジャンシーさんも、出産後に夫婦関係が破綻寸前に追い込まれた1人だ。口論を繰り返し、出産前は大好きだった夫のトムをどんどん嫌いになっていく。そんな状況に疲れたジャンシーさんは、自ら結婚生活に関する最新の研究について調べあげ、さまざまな分野の専門家に教えを請うべく動き出す。夫婦関係を修復するヒントを求めて。

 登場する専門家は、家族セラピストやカップル・セラピスト、精神科医など多方面に及び、ジャンシーさんは彼らに与えられた助言一つ一つに対して徹底的に実践を試みる。

 中でも、FBIの人質解放交渉人であるゲイリー・ノーズナーさんが提案する7つのリスニング技術「アクティブ・リスニング」は興味深い。

 ダン夫婦が積極的に取り入れているリスニング技術のひとつ、「感情のラベル付け」はこのような対応方法だ。

「この技術は、興奮している人物が、自分では想像すらしていなかった感情を抱いていることを認識させる手助けになる。的外れであることもあり得るから、決定的な言葉は使わない。『君の言ってることは○○のように聞こえるね』とか、『君の振る舞いは、まるで○○のような印象を受けるな』といった言葉を使うこと(例えば「僕が子どもの担当医がわからないから、君が腹を立てているように聞こえるね」など)」

 誰かの感情に名前をつけたり、それを認めたりすることは、理性的な心理状態へ人を導くことができるのだという。

 またジャンシーさんは、『立て直す力』の著者ブレネー・ブラウンさんから、「でっちあげた物語」を手放すことの重要性を学ぶ。

「私たちは、頻繁に、じつに念入りに、他人の動機(その人にその行動を促した理由)を捏造してしまう。まったく現実とは関係がないものを作り上げるのだ」

 自分で物語をでっちあげてパートナーの態度に腹を立てても、実は相手はまったく別のことを考えているかもしれない(ジャンシーさんの夫、トムさんが家事の手伝いから逃げる方法を考えていたのではなく、電気コードをどう管理するかを考えていたように)。直接話すことが何よりも大切なのだ。

 相手に変わってもらうことばかりを求めるのではなく、まずは自らが行動し、夫婦共に良い方向へ進む道を模索し続けることが重要だと本書は教えてくれる。怒りが爆発してしまった側(妻)だけではなく、怒りの原因を理解する側(夫)にも役立つ内容になっているので、妻との関係を円滑にしたい男性にもおすすめだ。

 400Pを超えるボリュームのある本書だが、産後の結婚生活に鬱屈したものを感じている人は、1つでも2つでもヒントを見つけて実践してみてほしい。今であれば、きっとまだ間に合うはずだから。

文=佐藤結衣