「株式時価総額トップ10」にIT企業が7社ランクイン。 10年後の日本は業界や部署の境界がなくなる!

ビジネス

2018/1/12

『業界メガ再編で変わる10年後の日本』(渡部恒郎/東洋経済新報社)

 10年後、日本はどうなっているだろう。M&Aコンサルタント・渡部恒郎氏の『業界メガ再編で変わる10年後の日本』(東洋経済新報社)は、「10年後」をキーワードに、企業がどうなっていくのか、業界がどうなっていくのかを明らかにした1冊。経営者に限らずすべてのビジネスパーソンに読んでほしい、未来の日本を考えるヒントとなる書だ。

■「株式時価総額トップ10」の変貌

 グローバルに見た企業の勢力地図はこの10年で大きく変わった。2007年当時、世界の株式時価総額ランキングでトップ10に入っていた企業のうち、今もランクインしているのはマイクロソフトだけ。米アップルや米アマゾン・ドット・コムなどのIT企業が7社も入るなど、この10年で大きな変化を遂げた。だが、日本企業の株式時価総額トップ10は、2007年のそれとほとんど変わらない。渡部氏に言わせれば、現在の日本企業は「過去の延長線上」のモノや組織であふれている。世界の潮流から取り残されないためには、今こそ、一人ひとりが日本の未来を真剣に考えるべき時だ。

■日本企業は競争を終え、「業界再編時代」へ

 産業が成熟した日本では、そろそろ企業は競争を終える時期に入っている。似通ったビジネスを日本にあふれさせ、そのシェアの奪い合いに狂奔するのではなく、同じビジネス、同じ志であれば手を組んで、積極的に協調すべき。つまりは「業界再編時代」になったのだ。渡部氏によれば、今後、日本の成熟産業では業界再編が加速し、上位3~5社でシェア90%を占める時代となるという。

「業界再編」というと、大手企業が買収合戦を繰り広げ、規模を大きくすることだと捉える方が多いだろう。だが、実際には、経営者が目指すのは、「規模の拡大」ではなく、「ビジネスを進化させること」にある。人口減少への対応、成熟期の先への変化、インターネットの普及。そのためには、「業界再編」は当然起こる変化である。これからの時代は、業界や部署、技術などに境界を作るのではなく、「いかに連携するか」が大切になるのだ。たとえば、インターネットの普及に伴う変化の波は、クラウド化が進むにつれ、インターネットと親和性が低いと見られていた旧態依然とした業界を変化させている。ホテル業界では民泊のAirbnb、タクシー業界では配車アプリのUberといったシェアビジネスが出現し、日本でも行政のルール変更が議論されている。ITに何かを掛け合わせるビジネスはもちろんのこと、医療業界×旅行業界がメディカルツーリズムという新しい業態を生み出したように、まったく違う業界同士も密接に近づいていくだろう。

■経営者年齢が20年間で19歳も上昇

 現在、中堅・中小企業経営者の年齢のピークは66歳。この値は20年間で19歳も上昇しており、経営者年齢は若返っていない。今後10年、多くの経営者が引退していくことは必至だ。中堅・中小企業が99パーセントを占める日本は、経営者だけでなくビジネスパーソン一人ひとりが次のステージを見据えることが必要だ。

 この本にはさまざまな業界のリーディングカンパニーの経営者へのインタビューも載っているから、日本全体の流れだけでなく各業界のこれからの動向も想像しやすい。そして、何より経営者たちの強い志を感じる。10年後の日本はどうなっているのだろう。私たち一人ひとりの思いが未来を生み出すのは、間違いない。

文=アサトーミナミ