「“働かないアリ”は集団存続に必要」との研究結果。あなたは“隣の暇な社員”を許せますか?

ビジネス

更新日:2018/1/10

■“働かないアリ”を雇える会社が生き残る

 これはもう10年近く前になりますが、私の知り合いの中に、これとまったく同じような話をしていた社長がいました。その当時の私から見ると、どう見ても暇そうな社員が何人かいるので、その社長には「今のままでは彼らは余剰人員とみられ、そういう人を組織内に放置すると、他のメンバーがやる気を失う恐れがあるから、もう少しきちんと仕事を与えて働かせた方が良い」というような話をしたことがあります。

 その時に言われたのが、「もしも何か急に対処しなければならないことが起こったとき、ある程度の余力がなければそれに対応ができなくなってしまうから、多少はそういう人員を抱えておくことも必要だ」ということでした。

 その頃の私には、今一つ納得できない言葉でしたが、私もその後いろいろな会社とかかわるようになり、それぞれの会社が良くなったり悪くなったりする状況に立ち会ってきた今では、一定の余力が必要ということに当てはまるケースは意外と多く、当時話していただいたことが、よく理解できるようになってきました。

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 実際に余力を持てる会社というのはそれほどある訳でなく、多くの場合はギリギリの人数と限られた設備や時間の中で仕事をしています。目の前の収益を上げるためには、仕方がない部分でしょう。

 ただ、そんな中で、誰か一人が欠ける、機械やパソコンやその他設備が壊れる、納期短縮というような事態が起こると、これはもう対処のしようがなく、残った人だけで力技の人海戦術に頼るしかなくなってしまいます。どうしても仕事は雑になるので、品質低下による手戻りが増えたり、さらに誰かが体調を崩したり、どんどん悪循環に陥って何事も悪くなる一方になり、本当にチームや会社存続の危機となります。

■“働かないアリ”が働き始めるタイミング

 ただ、これは偶然も含めて、それなりの余力があった場合には、ここまでに至ることはありません。

 ある会社であったことですが、社内的に大きなプロジェクトの一つが火を噴き、かなりピンチと思われることがありました。ただ、たまたまそのタイミングで、この会社で実施していた海外留学制度に参加していた人がちょうど復職してきたため、問題プロジェクトはどうにか持ち直したということがありました。さらに言えば、この復職してきた人は、しばらく仕事をしていなかったため、心と体のリフレッシュが万全だったためか、結構な無理をサラッとこなしていたらしく、この人が個人的に持っていた余力も、良い方に作用したということがあったようです。

「組織の長期存続のためには、多少の非効率も必要である」ということは、頭では納得できても、それを実行するのはなかなか難しいと思います。そもそもどの程度の余力が適切なのかがわかりづらいですし、やっぱり暇な誰かが周りにいるのは、どうしても給料泥棒的に思ってしまいます。それでも、「みんなが勤勉では、一斉に疲れて動けなくなってしまう」とか、「働いていた者が休み始めると、働かなかった者が動き始める」というのは、私の経験的にも感じるところであり、組織の安定した存続のためには、考慮しておくべきことです。

 アリでもできることならば、人間もできるのではないかと思ってしまいますが、そうはいかないものなのでしょうか……。

文=citrus ユニティ・サポート 小笠原隆夫