「自分が嫌い」深く悩む人への処方箋のような1冊『品格のある女性になる 「感情整理」のレッスン』

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更新日:2018/1/29

『品格のある女性になる 「感情整理」のレッスン』(ワタナベ薫/廣済堂出版)

 近所の美人な奥様や成功している同級生、自分より先に結婚を決めた友人。「幸せな人」を見るたびに、自分と比べてしまって苦しい。人の幸せを素直に喜べない自分は、性格が悪いのではないか。そんな悩みを抱えている人がいたら、ぜひ『品格のある女性になる 「感情整理」のレッスン』(ワタナベ薫/廣済堂出版)を読んでください。苦しみが少し軽くなり、前向きな一歩を踏み出せるきっかけになるかもしれません。

■ネガティブな感情は持っていてもいい

 あなたは「ポジティブでいなくてはいけない」と無意識に思っていませんか?無理にポジティブになろうとすると、その努力があなたを余計に苦しめます。

 著者のワタナベ薫さんは、多くの女性たちに「もっと楽に、もっと楽しく人生を歩んでほしい」と本書を書いたそう。そのため重要なコツとして紹介されているのが、「心をシフトチェンジする」ということです。

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(前略)無理矢理思い込めということではなく、不幸せを幸せに転換しようという話でもありません。しんどい出来事や腹立たしい出来事は早くスルーするか、教訓を学ぶか、自分の中で昇華させるなどして、別のありがたい出来事だったと思うように意識的にシフトチェンジしていこうという話なのです。(P90「小さな幸せ」に気づくコツ より)

■コンプレックスを軽くする方法

 誰もが自分の容姿や性格などにコンプレックスを持っているものですが、この「心のシフトチェンジ」はコンプレックスを軽くするのにも有効です。

 例えば、「胸が小さい」「体にメリハリがなくて痩せている」ということがコンプレックスの場合、誰にも言わずに抱えたままでいると、「女性らしくない」「ガリガリで男性は魅力的に思わないのでは」などと、どんどんコンプレックスは膨らむばかり。でも、信頼できる人に打ち明けてみたら、「スラッとしたモデル体型できれいなのに!」と、むしろうれしい褒め言葉をもらうこともあるかもしれません。

 コンプレックスばかりに目を向けるのではなく、逆にいいところを探して「細い手足を目立たせよう」とシフトチェンジすれば、ずっと心が軽くなるに違いありません。

POINT
・思い切って打ち明けると、心が軽くなる
・他のいいところを目立たせると、コンプレックスは小さくなる

■「関わらなければならない相手」との付き合い方

 会社の同僚や学校関係者など、苦手でもどうしても関わらなければならない相手はいます。苦手な相手と付き合うのはストレスも溜まるし、イライラしてしまう。そんなときにも「心のシフトチェンジ」が役に立ちます。

 例えば、自分は仕事に集中したいのに、勤務時間中におしゃべりしてばかりの同僚がいたら。「何しに会社に来ているのか」「うるさいなぁ」とイライラしてしまいますよね。そんなとき、イライラしている気持ちではなく、「あんな人にはならないぞ」と“学び”にフォーカスを当てましょう。また、他人は思考が違うことを肝に銘じ、「彼女には彼女の考え方があり、理解できないけれど私とは違う人だから」と思うことができれば、気持ちはずっと楽になります。

POINT
・イライラを学びに変えよう
・「他人の思考は全員違う」と肝に銘じて受け入れる

「品格のある女性」になるための指南書は世間に溢れていますが、結局は「ポジティブな人だからできるのよ! 私にはできない」と読者を置いてきぼりにする内容の本も多いのが実情。しかし本書は、ネガティブな気持ちを肯定し、読者に寄り添ってくれるところが素敵。まさに処方箋のような1冊になっています。

文=箕浦 梢