群ようこの、漢方薬と断捨離ライフ。心身ともに健康になる秘訣は、いろんなものを軽くすること!?

暮らし

公開日:2018/1/11

『かるい生活』(群ようこ/朝日新聞出版)

 いらないものを処分して、すっきりと気持ちよく生きていきたい。けれど年を重ねるほど、いつのまにかシンプルとは程遠い生活になっているものだ。還暦を過ぎ、相棒の老ネコと暮らす著者の日常を綴った『かるい生活』(群ようこ/朝日新聞出版)。著者の群ようこ氏は、ゆるやかな日常が垣間見えるようなエッセイで、同世代の女性の共感を集めている。愛猫と、信頼する漢方薬の先生と、親しい友人に囲まれた日々の中、著者が実践する「かるい生活」とはどのようなものだろうか?

■いらないものを排出して体を軽く

 長年通う漢方薬局の先生から、季節やその時々の体調に合った漢方薬を処方してもらっている群氏。水分を溜めこみやすい体で、むくみやすかったが、漢方薬、リンパマッサージ、食生活に気をつけることで、だいぶ健康的な体になってきたという。お饅頭が大好きだったが、今は甘いものは週に1 度にしているそうだ。ちょっとした変化、不調にも気づき予防できるのは、自分の体と長く付き合ってきたからこそ。常に不調の原因を取り除き、いつも体はかるくありたい。本書には著者が受けたマッサージの方法や、さまざまな漢方薬が出てきて興味深い。足のむくみに効く、くるぶしマッサージなど、ぜひ試してみては。

■不用品整理で物を軽く

 マンションに入居して12年、はじめて不用品整理をした著者。ベランダの大型ごみの撤去に始まり、段ボール数十個分の本、着物、洋服、化粧品と、次々と手放していく。「肌断食」という美容法があるらしいが、日焼け止めをやめ、美容液もやめてみたら、毛穴から酸化した固い脂が出てきて、肌が再生したという。漢方の先生によると「肌は排出器官」なのだそう。年を重ねたら手厚いケアより、かるくすることも大事なのかも知れない。いらないものは潔く捨てていく! 群氏の勢いに乗って、筆者も今すぐ思い切った断捨離をしたくなってきた。

advertisement

■人間関係を見直してしがらみを軽く

 少し重い、群氏の家族関係についても語られている。両親は著者が20歳のときに離婚。母と弟とは、著者のお金を巡る問題でいざこざがあり、結局、「弟に絶縁を言い渡した」という。「これで不愉快な感情を少しでも持たなくて済むと思ったら胸につかえていたものがすっと消えていった」と著者。

 上手に身体と付き合う方法、余分なものを溜めない暮らし方、しがらみを断ち切り心の負担をなくすこと。群氏は、リアルな日常を綴り、身近な話題の中で、年を重ねたからこその気持ちよく生きていくコツを教えてくれる。

文=泉ゆりこ