監督交代、中日ドラゴンズの持ち味は変わるのか? 不安なファンはこれを読め!

公開日:2012/2/22

中日ドラゴンズ論

ハード : iPad 発売元 : KK BESTSELLERS
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著者名: 価格:350円

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2012年の中日ドラゴンズのスローガンは「ファンと共に」だそうだが、ぶっちゃけ私は不安と共に。だってせっかく落合前監督が常勝チームを作ってくれたっつーのに、解任するやいなや運営方針を〈落合以前〉に戻しちゃったんですもの。もったいないなあ。

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そんな不安と共にいる同志の皆さんにおすすめしたいのが本書。著者はドラゴンズのエースとして活躍し、引退後はNHKで野球解説者を務めた今中慎二氏(現中日投手コーチ)だ。アナウンサーの問いかけにすべて否定で返すというドS解説っぷりも記憶に新しい。

本書が出版されたのは2010年のドラゴンズリーグ優勝のあと。サブタイトルは「〝不気味さ〟に隠された勝利の方程式」である。不気味と言えば落合ドラゴンズのイメージが強いが、それだけではない。本書は星野監督(現楽天)と落合監督を比較し、高木・山田両氏の監督時代にも触れ、それぞれの政権下でドラゴンズがどういうチームだったかを述べた、いわばドラゴンズ史なのだ。

落合前監督は選手の健康状態を徹底的に秘匿したが、これは第一次星野政権時代にもあったということや、高木監督は「選手に謝ることができる人」であるという話、今のドラゴンズの基礎を作ったのは山田元監督であったという話など監督の個性が出て興味深いが、どの政権であっても共通していることがある。それは「盤石の投手陣」と「シーズン後半に強い」こと。

打てなくても打たれないから負けない、他のチームがヘバる夏場から調子を上げてくるから優勝争いに絡める。これがドラゴンズの〝不気味さ〟の秘密だという。落合ドラゴンズの象徴とも言えるこの〝不気味さ〟は、実は20年以上前からドラゴンズのカラーだったと今中氏は指摘する。落合監督の采配は決して「オレ流」などではなく、堂々と本道を行くものであったのだ。

何よりいいのが今中氏の筆致だ。OBの本にありがちな精神論や根性論は皆無。余計な煽りもなく、経験に基づいた事実を淡々と述べ、憶測の場合ははっきりとそれを断る。何より大事なのは、「この監督はだからダメ」という否定がない(アナウンサーの質問は否定するのに!)。それぞれの個性と効果をフェアに分析している。簡単なようで難しいことだ。

これだけ過去のドラゴンズのカラーを分析している人が、今年からコーチになるのだから、不安と共にあるファンもちょっとは安心できるのではないか。さあて、三連覇が見たいなあ。燃えよ、ドラゴンズ!


紙の本にはなかった2011年優勝時の胴上げ写真が表紙画像に。これをめくると…

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別バージョンの帯も。なんという親切な。帯にこだわるマニアもこれなら安心

内容は2010年11月に出た紙の本と同じだが、電子書籍用前書きで11年のシーズンにも触れてくれてます

2011年の分まで入ったデータ各種が、新たに追加!