天気が悪い日、不調になりがちな人へ…天気に振り回されないカラダとココロのつくりかた

健康・美容

更新日:2018/1/29

『天気が悪いとカラダもココロも絶不調 低気圧女子の処方せん』(小越久美:著、小林弘幸:監修/セブン&アイ出版)

 ずっと前から気づいていた。空が荒れそうなときは体調がてきめんに悪くなる。そんな人が自分だけではないことを知ったきっかけが本書『天気が悪いとカラダもココロも絶不調 低気圧女子の処方せん』(小越久美:著、小林弘幸:監修/セブン&アイ出版)だ。

 本書によれば天気の悪い日、つまり気圧の低い日に体調の悪化を感じる人は多いらしい。こうした天気の悪化に伴う心身の不調を「気象病」というのだそうだ。その症状は頭痛や肩こり、古傷の痛み、気分の落ち込みなど。つまり筆者が悩まされている症状全部である(ちなみに花粉症やインフルエンザなど季節によって発症する病気は「季節病」というらしい)。

日本人の6割が気圧の低下によって何らかの不調を感じており、女性の3人に1人は頭痛に悩まされていて、2人に1人はだるさを感じているというウェザーニューズのデータからも気象病は女性に多いことがうかがえます。

 気象病のなかには心筋梗塞などの重篤な病気も含まれるが、私たちにとってより身近なのはだるい、気分の落ち込みといった不定愁訴・精神症状、および頭痛、古傷の痛みなどの痛みの症状である。そしてこうした症状に悩まされるのは圧倒的に女性が多い。

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 なかでも低気圧がきっかけで気象病に苦しむ女子が多いことから、本書では天気に心と体を振り回される女子を「低気圧女子」と名付けた(もちろん男子もいる)。女性に気象病が多いのは理由がある。そのカギを握るのが自律神経だ。

 自律神経とは自分の意思とは無関係に働き、体温調整や免疫、血流など生命維持に不可欠な機能を調整している神経のこと。外の気温にかかわらず一定の体温を保てるのも自律神経のおかげだ。そしてこの自律神経の働きには気圧の変化への対応も含まれる。

気圧とは、空気の重さによって押される力(圧力)のことです。私たちの体は常に約15トンもの圧力を外側から受けています。これに対抗しなければ体はぺしゃんこにつぶされてしまうので、外側からかかっている圧力と同じだけの力で、体の内側から押し返しています。

 つまり高気圧のときは押し返す力が強くなり、低気圧なら押し返す力も弱くなる。人間の身体の調整機能はなかなかよくできているのだ。

 ただこうした自律神経の調整機能がつねに正常に働いてくれるとは限らない。気温や気圧の変化が急激だと自律神経が対応しきれず乱れてしまうことがある。

 自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つのバランスよく活発に動くことで初めて身体はベストな状態に保たれる。交感神経と副交感神経がバランスよく、しかも活発に働いている人は自律神経の適応力が強く、気温や気圧の変動が激しくても対応できる。しかし何らかの原因で自律神経の働きが低下している、もしくはバランスが崩れやすい状態になっている人は要注意。環境の急変に自律神経がパニックを起こし、さまざまな不調が心身に表れることになる。

 もともと女性は自律神経が月経周期によって大きな影響を受けるうえに、40代以降は副交感神経の活性度そのものが低下する。女性の場合、男性に比べて自律神経が乱れやすいのだ。しかも現代では男女問わず自律神経の働きが全体的に低下している人も増えているそう。現代を生きる女子に気象病が多いのはある意味当然の結果といえるのかもしれない。

 それでは乱れがちな自律神経を整え、脱・低気圧女子するためにはどうしたらよいのだろうか。それにはとにかく自律神経の総合力を上げることが大事だという。本書には、天気によって行動パターンを変える、腸内環境を整える、など自律神経を強くするためのさまざまなアドバイスが紹介されている。また梅雨や爆弾低気圧、台風などトラブルが起きやすい空模様やそれに合わせた対策の解説もある。

 当事者以外にはなかなか理解してもらえないが、天気によって生活が振り回されるのは辛いもの。季節の変わり目や台風、梅雨などの日に不調に悩まされているのなら、あなたも低気圧女子(男子)の可能性がある。本書を参考にして天気に負けない体を手に入れよう。すべての低気圧女子・低気圧男子に本書の一読をおすすめしたい。

文=遠野莉子